パワートレーニング

力の立ち上がり速度(RFD)を理解する

多くのスポーツ動作は非常に短い時間で行われます。短時間でどれだけ力を立ち上げられるか、すなわち力の立ち上がり速度(RFD)が、爆発的な動作の質を左右します。

レベル 入門〜実践監修 日原 裕太 NSCA-CPT

RFDとは

RFD(Rate of Force Development)は、力を発揮し始めてから単位時間あたりにどれだけ力が増えるかを表す指標です。最大筋力そのものではなく、力を素早く立ち上げる能力に注目します。

ジャンプや投動作、急な切り返しなど、地面と接している時間や力を出せる時間がごく短い場面では、最大筋力に到達する前に動作が終わってしまいます。そのため、初期の力の立ち上がりが重要になります。

なぜ重要か

短距離走の地面接地や踏み切りなどは、しばしば数百ミリ秒以下の短い時間で完了します。この間に大きな力を出すには、最大値の高さだけでなく、立ち上がりの速さが効いてきます。

同じ最大筋力を持つ二人でも、RFDが高い側のほうが瞬発的な動作で有利になりやすいと考えられています。これがパワートレーニングでRFDが注目される理由です。

RFDを規定する要因

RFDは神経系の要因に強く影響されると考えられており、爆発的な動作を意図して全力で素早く力を出す練習が、立ち上がりの改善に寄与するとされています。

  • 運動単位を素早く動員し、高い頻度で発火させる神経系の働き
  • 速筋線維(タイプII線維)の割合や特性
  • 腱の硬さなど力を伝える組織の性質
  • 動作課題に対する技術と協調性

トレーニングの方向性

RFD向上を狙うトレーニングでは、できるだけ速く力を立ち上げる意図を持って行うことが共通の原則です。重い負荷を爆発的に挙上する課題、軽負荷の高速挙上、プライオメトリクスなどが用いられます。

一つの方法に偏らず、神経系を強く刺激する高負荷の爆発的挙上と、伸張-短縮サイクルを使う跳躍系を組み合わせる構成が一般的です。疲労が立ち上がりの質を下げるため、休息を十分にとることも重要です。

評価の考え方

RFDは力を時間で評価するため、本来はフォースプレートなどの計測機器が必要です。専門施設では等尺性の発揮課題などからRFDを算出します。

機器がない現場では、反応の速さを要する跳躍やメディシンボール投げの記録、接地時間の短い跳躍課題の質などを観察することで、間接的に立ち上がりの傾向をうかがうことができます。

安全への配慮

爆発的な動作は組織への負担が大きいため、十分なウォームアップと、基礎的な筋力・技術の確立を前提とします。痛みや違和感がある場合は無理に行わず、医療職と相談します。

成長期や既往のある対象者では負荷量と頻度を慎重に設定し、回復状態を見ながら段階的に進めることが望まれます。

医療免責

本記事は教育目的の学習コンテンツです。診断・治療行為を代替するものではありません。痛み・しびれ・急性外傷・発熱・進行性の症状や、医師から運動制限を受けている場合は、自己判断で進めず医師・国家資格者にご相談ください。

よくある質問

RFDは最大筋力と同じですか。

異なります。最大筋力は到達できる力の大きさを、RFDはその力をどれだけ速く立ち上げられるかを表します。短時間の動作では立ち上がりの速さが特に重要です。

RFDはどうすれば高まりますか。

できるだけ速く力を立ち上げる意図を持って爆発的な動作を行うことが基本です。高負荷の爆発的挙上や跳躍系をバランスよく取り入れます。

RFDの測定には機器が必須ですか。

厳密な数値化にはフォースプレートなどが必要です。現場では跳躍記録や接地時間の質など間接的な指標で傾向を追うことができます。

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