パワートレーニング

速度ベーストレーニング(VBT)の基礎

バーの動く速度を測り、その日のコンディションに応じて負荷や量を調整する速度ベーストレーニング(VBT)は、パワー管理の新しい標準的手法として広まりつつあります。

レベル 入門〜実践監修 日原 裕太 NSCA-CPT

VBTとは

速度ベーストレーニング(Velocity-Based Training)は、挙上動作の速度を計測し、それを指標としてトレーニングを管理する方法です。専用のセンサーやアプリで、一回ごとの平均速度などを把握します。

従来のように決まった重量や回数だけで管理するのではなく、その日に実際に出ている速度を根拠にして強度や量を調整できる点が特徴です。

速度が示すもの

同じ重量でも、速度が速ければその日はコンディションが良く余裕がある、速度が遅ければ疲労や調子の低下が示唆される、というように、速度はその場の状態を反映する指標として使えます。

また、特定の速度域はパワーや爆発的発揮の課題、別の速度域は筋力の課題に対応づけられるため、狙いに応じた速度の目安を設けることができます。

主な利点

  • その日のコンディションに合わせて負荷を客観的に微調整できる
  • 全力で挙げる意図を促し、爆発的発揮の質を高めやすい
  • 速度の低下を手がかりに過度な疲労の蓄積を避けやすい
  • 目標速度というわかりやすいフィードバックで動機づけになる

速度低下による量の管理

VBTでは、セット内で速度が一定割合まで低下したらそのセットを終える、という量の管理がよく用いられます。速度が大きく落ちた状態での反復は疲労が主体になり、パワーの質が損なわれるためです。

どの程度の速度低下を許容するかは目的によって変わります。爆発的発揮を重視するなら速度低下を小さく抑え、筋肥大などを狙うならより大きな低下を許容するといった使い分けが行われます。

現場での導入

導入には速度計測の機器やアプリが必要ですが、近年は手頃な選択肢も増えています。まずは主要種目で個人の速度の基準値を把握し、そこからの変化を追うところから始めると扱いやすくなります。

機器がなくても、挙上が明らかに遅くなったり動作が崩れたりしたらセットを区切る、という考え方自体は現場の判断に取り入れられます。

限界と注意点

速度はあくまで一つの指標であり、技術の良し悪しや痛みの有無まで教えてくれるわけではありません。数値に頼りすぎず、動作の質や本人の感覚と併せて総合的に判断することが大切です。

また、計測値は機器や測定条件の影響を受けます。同じ条件で測ることを心がけ、絶対値よりも個人内での変化に注目すると実用的です。

医療免責

本記事は教育目的の学習コンテンツです。診断・治療行為を代替するものではありません。痛み・しびれ・急性外傷・発熱・進行性の症状や、医師から運動制限を受けている場合は、自己判断で進めず医師・国家資格者にご相談ください。

よくある質問

VBTには必ず機器が必要ですか。

速度を数値で管理するには計測機器やアプリが必要です。ただし、挙上が明らかに遅くなったらセットを区切るという考え方は機器がなくても活用できます。

速度ベーストレーニングの利点は何ですか。

その日のコンディションに合わせて負荷や量を客観的に調整でき、全力発揮を促し、過度な疲労の蓄積を避けやすい点です。

速度低下はどこまで許容しますか。

目的によります。爆発的発揮を重視するなら速度低下を小さく抑え、筋肥大などを狙うならより大きな低下を許容するといった使い分けが行われます。

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