歩行分析

トレンデレンブルグ歩行と股関節外転筋

立脚側の股関節外転筋が十分に働かないと、骨盤の制御が乱れて特徴的な歩行が現れます。代表例であるトレンデレンブルグ歩行を理解しておきましょう。

レベル 入門〜実践監修 日原 裕太 NSCA-CPT

股関節外転筋の役割

歩行の立脚相では片足で体重を支えるため、骨盤が遊脚側へ落ちないように支える必要があります。この働きを担う代表的な筋が、中殿筋を中心とした股関節外転筋群です。

立脚側の外転筋がしっかり収縮することで、骨盤が水平に保たれ、安定した片脚支持が可能になります。

トレンデレンブルグ徴候とは

立脚側の股関節外転筋の機能が低下すると、片脚で支えたときに遊脚側の骨盤が下がってしまいます。この骨盤の落ち込みをトレンデレンブルグ徴候と呼びます。

歩行の中で繰り返し現れると、左右に揺れるような独特の歩容として観察されることがあります。

代償としての体幹側屈

外転筋の機能低下を補うために、立脚側へ体幹を傾けて重心を支持脚側に寄せる代償が見られることがあります。これは骨盤の落ち込みを目立たなくする働きを持ちます。

このような代償が見られる歩行は、補償性の傾きを伴う歩容として観察されます。代償の有無も含めて評価することが大切です。

  • 遊脚側の骨盤が下がるのがトレンデレンブルグ徴候
  • 立脚側への体幹傾斜は代償の一つ
  • 代償の有無も含めて観察する

観察のポイント

正面や背面から、片脚支持のときに骨盤が水平に保たれているか、左右どちらかが下がっていないかを観察します。体幹の傾きが伴うかもあわせて確認します。

左右のどちらの立脚相で起きるかを記録すると、機能が低下している側の手がかりになります。

考えられる背景

外転筋の筋力低下のほか、股関節の痛みや可動域制限、神経の問題などが背景にある場合があります。原因は一つとは限らないため、安易に断定しないことが重要です。

歩容の変化が急に現れた場合や痛みを伴う場合は、運動指導だけで対応せず、医療機関での評価を促すことが安全につながります。

現場での配慮

運動指導では、安全を確保したうえで股関節周囲の機能を高める基本的な運動を取り入れることが考えられます。ただし疾患が疑われる場合は医療職と連携します。

観察結果はクライアントに分かりやすく伝え、過度に不安をあおらないよう配慮することも大切です。

医療免責

本記事は教育目的の学習コンテンツです。診断・治療行為を代替するものではありません。痛み・しびれ・急性外傷・発熱・進行性の症状や、医師から運動制限を受けている場合は、自己判断で進めず医師・国家資格者にご相談ください。

よくある質問

トレンデレンブルグ徴候はどこを見れば分かりますか

片脚支持のときに遊脚側の骨盤が下がるかを正面や背面から観察します。立脚側への体幹の傾きという代償も合わせて確認します。

原因は筋力低下だけですか

外転筋の筋力低下のほか、股関節の痛みや可動域制限、神経の問題などが背景になる場合があります。原因は一つとは限りません。

気づいたらどう対応すべきですか

痛みを伴う場合や急に現れた場合は運動指導のみで対応せず、医療機関での評価を促すことが安全につながります。

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