モビリティ

関節可動域(ROM)の基礎

モビリティを学ぶ前提として、関節可動域(ROM)の基本を押さえることが欠かせません。可動域の種類と影響因子を整理します。

レベル 入門〜実践監修 日原 裕太 NSCA-CPT

関節可動域とは

関節可動域(ROM:Range of Motion)とは、関節が動かしうる角度の範囲を指します。屈曲・伸展・外転・内転・回旋など、関節の運動方向ごとに正常範囲のおおよその目安が知られています。

可動域は関節の構造、靭帯や関節包の張り、筋や腱の伸張性、皮膚や脂肪などの軟部組織、そして痛みや神経の影響など、複数の因子で決まります。

自動ROMと他動ROM

自分の筋力で動かす範囲を自動可動域(AROM)、検者や外力で動かす範囲を他動可動域(PROM)と呼びます。一般に他動可動域のほうがやや大きくなります。

  • AROMが小さくPROMが大きい場合は、筋力低下や運動制御の問題を疑う
  • AROMもPROMも小さい場合は、関節包や靭帯など構造的な制限を疑う
  • 可動域の終わりで感じる抵抗感(エンドフィール)も評価の手がかりになる

可動域を制限する因子

可動域の制限は単一の原因とは限りません。筋の短縮や緊張、関節の変形、過去の外傷後の組織変化、痛みによる防御性の反応などが複合的に関わります。

そのため可動域が狭いという結果だけを見て、原因を一つに決めつけないことが重要です。

左右差と日内変動

可動域には左右差がしばしばみられます。利き手や日常の使い方、過去のケガなどが背景にあることが多く、左右を比較する視点が評価に役立ちます。

また体温や活動状況によっても可動域は変動します。ウォームアップ後に可動域が広がりやすいのはこのためです。

可動域を扱う際の注意

可動域を広げることが常に良いとは限りません。関節の安定性とのバランスが大切で、過度な可動性はかえって不安定さや障害のリスクにつながることがあります。

痛みやしびれ、関節のひっかかり感を伴う制限がある場合は、無理に動かさず医療機関での評価を勧める判断が求められます。

医療免責

本記事は教育目的の学習コンテンツです。診断・治療行為を代替するものではありません。痛み・しびれ・急性外傷・発熱・進行性の症状や、医師から運動制限を受けている場合は、自己判断で進めず医師・国家資格者にご相談ください。

よくある質問

可動域は広いほど良いのですか

一概にそうとはいえません。安定性とのバランスが重要で、必要以上の可動性は不安定さにつながることもあるため、目的に応じた範囲を考えます。

自動と他動の可動域はなぜ違うのですか

他動では外力で動かすため筋力の影響を受けにくく、一般にやや大きくなります。両者の差は筋力や運動制御を評価する手がかりになります。

左右差があるのは異常ですか

ある程度の左右差はよくみられます。ただし大きな差や痛みを伴う場合は、背景の確認や医療機関への相談を検討します。

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