疼痛科学
下行性疼痛抑制系|脳から痛みを抑える経路
痛みは脳に届くだけでなく、脳から抑える仕組みもあります。下行性疼痛抑制系を知ると、運動や安心が痛みを和らげる理由が見えてきます。
下行性疼痛抑制系とは
下行性疼痛抑制系は、脳から脊髄へ向かって痛みの伝達を抑える神経経路の総称です。痛みの情報が一方的に増幅されるのではなく、状況に応じて抑制される仕組みが備わっていることを示します。
この系の働きによって、同じ刺激でも痛みの感じ方が変わります。
おもな経路
中脳の中脳水道周囲灰白質や脳幹の一部から脊髄後角へ向かう経路が、痛みの伝達を調整する代表的な仕組みとして知られています。これらは脊髄後角での情報処理を抑える方向に働きます。
内因性の鎮痛物質
下行性の抑制には、体内で作られる鎮痛に関わる物質が関与すると考えられています。
- 内因性オピオイドは痛みを和らげる働きに関与する
- セロトニンやノルアドレナリンも痛みの調整に関わる
- これらの働きは状況や注意、感情の影響を受ける
運動と痛みの抑制
適度な運動の後に一時的に痛みの感受性が下がる現象が知られ、運動誘発性の鎮痛と呼ばれます。下行性の抑制系の関与が考えられており、運動が痛みの管理に役立つ背景の一つとされます。
ただし反応には個人差があり、慢性痛では期待した効果が得られにくい場合もあるため、負荷は慎重に調整します。
心理状態とのつながり
注意のそらし、安心感、前向きな期待などは下行性の抑制を助ける方向に働くと考えられています。逆に強い不安やストレスは痛みを強める方向に働きやすく、心理状態への配慮が痛みの管理に関わります。
医療免責
本記事は教育目的の学習コンテンツです。診断・治療行為を代替するものではありません。痛み・しびれ・急性外傷・発熱・進行性の症状や、医師から運動制限を受けている場合は、自己判断で進めず医師・国家資格者にご相談ください。
よくある質問
下行性疼痛抑制系とは何ですか
脳から脊髄へ向かって痛みの伝達を抑える神経経路の総称で、状況に応じて痛みの感じ方を弱める働きを持ちます。
運動すると痛みが和らぐのはなぜですか
適度な運動後に痛みの感受性が一時的に下がる運動誘発性の鎮痛が知られ、下行性の抑制系や内因性の鎮痛物質の関与が考えられています。
気分は痛みに影響しますか
影響すると考えられています。安心や前向きな期待は抑制を助ける方向に、強い不安やストレスは痛みを強める方向に働きやすいとされます。
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