【MODULE 03】FMS:7つのスクリーンニング動作の深掘り解析
FMS(機能的動作スクリーニング):7つの評価動作の深掘り解析
FMS(Functional Movement Screen)は、Gray Cook らが開発した7つの基本動作パターンを点数化するスクリーニングシステムです。単なる柔軟性や筋力の評価ではなく、動作パターンの質と非対称性を評価することで、傷害リスクの高い個人を特定し、個別化された運動介入につなげます。
FMSの基本概念
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スコアリング
- 3点:代償なし・痛みなしで完全実施
- 2点:代償あり・または部分的な制限あり・痛みなし
- 1点:動作の完遂ができない
- 0点:痛みを伴う(再評価または医療機関紹介)
7動作の合計21点満点。14点以下は傷害リスクが高いとするカットオフが使用されることが多い(ただし研究によって異なる)。また左右非対称(1点以上の差)も重要なリスク指標です。
7つのスクリーニング動作:詳細解析
1. ディープスクワット(Deep Squat)
目的:股関節・膝・足関節の可動域と体幹安定性の複合評価
- 実施:棒を頭上に持ち、肩幅の足幅でディープスクワット
- 3点基準:体幹がすねに平行・膝がつま先の上・棒が足の上方
- よくある代償:踵が浮く(足関節背屈制限)・前傾過多(股関節屈曲制限)・腕が前方に倒れる(胸椎制限)
2. ハードルステップ(Hurdle Step)
目的:片脚ステップ動作における骨盤安定性・股関節分離・バランス評価
- 実施:脛骨長に合わせた高さのハードルを片脚でまたぐ
- 3点基準:骨盤・脊柱が中立・接地脚の膝と足首が垂直に整列
- よくある代償:ハードルをまたぐ脚の腰の過伸展・支持脚の骨盤傾斜・体幹の傾き
3. インラインランジ(In-line Lunge)
目的:膝・股関節・体幹の矢状面安定性、大腿四頭筋・大殿筋・ハムストリングの柔軟性評価
- 実施:一直線上で行うランジ動作(頭頂・肩・腰が棒に触れている状態)
- 3点基準:棒に3点接触維持・後ろ足の膝が前足のかかと後方に接地
- よくある代償:体幹の回旋・体幹側屈・膝の内外反
4. ショルダーモビリティ(Shoulder Mobility)
目的:肩甲胸郭可動域・胸椎回旋・肩内外旋の評価
- 実施:両手を背中側で近づける(片手は上から・片手は下から)
- 3点基準:両拳の距離が手の長さ以内
- 付随テスト(クリアリングテスト):疼痛がなければスコアを有効化
5. アクティブ直脚挙上(Active Straight Leg Raise)
目的:能動的ハムストリング柔軟性・骨盤安定性・腸腰筋の伸張性評価
- 実施:仰臥位で片脚を能動的に挙上(反対側の脚は中立位)
- 3点基準:挙上脚の足首が支持脚の大腿部中点より上に来る
- よくある代償:支持脚の代償動作(外旋・骨盤傾斜)・腰椎の過屈曲
6. 体幹安定プッシュアップ(Trunk Stability Push-Up)
目的:上肢荷重時の体幹反射的安定性評価(脊椎の剛性)
- 実施:体幹を板状に保ったままのプッシュアップ(男性:親指が頭頂高・女性:顎高)
- 3点基準:体幹が一枚板のまま完全挙上
- 付随クリアリングテスト:体幹伸展での疼痛なし
- よくある代償:腰部の「すたれ」(sag)・肩甲骨の翼状
7. 回旋安定性(Rotary Stability)
目的:多平面安定性・神経筋協調・体幹反射的制御
- 実施:四つ這いから同側の手足を挙上しながら膝と肘を合わせる(または対角)
- 3点基準:同側の手足で完全な動作・脊椎中立維持
- 最も難しい評価。多くの人が2点または1点
FMSの活用:優先すべき問題の特定
優先順位の原則(Cook, 2010)
- 0点(痛み)が最優先:まず医療機関へ
- 非対称性の修正が次:左右1点差以上は傷害リスクの指標
- 最低スコアの動作から修正:1点の動作を2点にすることが優先
FMSの限界
- 傷害予測のエビデンスは混在(感度・特異度ともに中程度)
- スポーツ特異的パフォーマンスとの相関は弱いというデータもあり
- 評価者間信頼性には訓練が必要
- FMSだけで全ての動作問題を評価することはできない
FMSは「スクリーニング」であり「診断」ではありません。他の評価と組み合わせて総合的に判断することが重要です。
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まとめ
FMSの7動作は、単に「できるかどうか」ではなく「どのように動いているか」を評価します。非対称性と低スコア動作を特定し、目的を持った修正エクサを処方することで、傷害予防と動作の質向上に貢献できます。
動作評価・FMSの詳細はNSCA-CPT試験対策1000問でも学べます。
よくある質問(FAQ)
- Q:FMSの14点カットオフはどこまで信頼できますか?
- A:14点カットオフは複数の研究で使用されていますが、スポーツ・年齢・性別によって最適なカットオフが異なるという研究もあります。Kiesel ら(2007)の American Football 研究では有効性が示されましたが、他競技での再現性は一貫していません。「14点以下は絶対リスクあり」というより「評価の出発点として注目すべき指標」として使うのが現実的です。
- Q:FMSスコアを上げることがトレーニングの目標になりますか?
- A:スコアアップそのものを目標にするより、「そのスコアが示す動作の制限を改善すること」が目的です。スコアは手段であり目的ではありません。スコア改善よりも、実際の日常動作・スポーツ動作の改善と傷害リスク低下が真の目標です。
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