バランス評価
Timed Up and Go(TUG)の実践
TUGは、立ち上がりから歩行、方向転換、着座までを一連の流れで評価する簡便な動的バランステストです。短時間で多くの情報が得られます。
TUGとは
Timed Up and Go(TUG)は、椅子から立ち上がり、約3メートル先まで歩いて方向転換し、戻って再び着座するまでの所要時間を計測する評価です。複数の動作要素を一つの課題で確認できます。
立ち上がり、歩行、方向転換、着座という日常生活の基本動作を含むため、機能的な移動能力やバランスを実用的に評価できます。機器が少なく済む点も利点です。
標準的な手順
一般的には、肘掛けのある椅子に座った状態から開始します。合図とともに立ち上がり、決められた距離を歩いて折り返し、椅子に戻って座るまでの時間を測ります。
- 肘掛け付きの椅子と約3メートルの歩行路を用意する
- 普段の歩行速度で行うよう指示する
- 靴や歩行補助具の使用条件をそろえる
- 開始から着座までの時間をストップウォッチで計測する
計測時の注意点
歩行速度や歩行補助具の有無、椅子の高さなどの条件は結果に影響します。再評価では同じ条件にそろえ、比較できるようにします。
対象者が課題を理解しているか、必要なら一度練習してから本番を行うかを決めておきます。転倒リスクのある対象者では、検査者が並走できる位置で見守ります。
観察すべきポイント
時間だけでなく、動作の質も重要な情報です。立ち上がりで手をつくか、歩行のふらつき、方向転換でのステップ数や不安定さなどを観察します。
方向転換は特にバランスが問われる局面です。ここで時間がかかったりステップが増えたりする場合は、回旋方向の制御に課題がある可能性を考えます。
結果の解釈
TUGの所要時間が長いほど、移動能力やバランスの低下が示唆されます。一般に高齢者では時間が延びる傾向があり、転倒リスクの目安として参照されることがあります。
ただし、単一の数値だけで転倒の有無を断定することはできません。他の評価や問診、生活状況と合わせて総合的に判断することが大切です。
現場での活用
TUGは短時間で実施でき、初回評価や定期的な再評価に適しています。歩きながら計算する、物を持つなどの二重課題版にすると、より実生活に近い負荷を確認できます。
結果は対象者へのフィードバックや、トレーニング効果の見える化に役立ちます。著しく時間が延びる、強いふらつきがあるといった場合は、医療機関への相談を検討します。
医療免責
本記事は教育目的の学習コンテンツです。診断・治療行為を代替するものではありません。痛み・しびれ・急性外傷・発熱・進行性の症状や、医師から運動制限を受けている場合は、自己判断で進めず医師・国家資格者にご相談ください。
よくある質問
TUGは何秒以上だと転倒リスクが高いですか
目安として時間が延びるほどリスクが高まるとされますが、明確な一律の境界値を絶対視するのは適切ではありません。他の評価や生活状況と合わせて総合的に判断します。
歩行補助具を使っていても評価できますか
補助具を使った状態でも実施できます。条件として記録し、再評価でも同じ補助具を使うことで経過を比較できます。
二重課題版のTUGとは何ですか
歩きながら計算する、コップを持つなど別の課題を同時に行う方法です。注意を分散させた状態でのバランスを確認でき、より実生活に近い能力の評価につながります。
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