バランス評価

機能的リーチテスト(FRT)の理解

機能的リーチテストは、立位で安定を保てる前方への限界範囲を簡便に測る評価です。少ない器具で実施でき、現場で扱いやすい指標です。

レベル 入門〜実践監修 日原 裕太 NSCA-CPT

機能的リーチテストとは

機能的リーチテスト(Functional Reach Test)は、立位姿勢で前方に腕を伸ばし、足を動かさずにどこまで到達できるかを測る評価です。安定を保てる範囲、すなわち安定性限界の一部を把握できます。

壁に取り付けたものさしと立位スペースがあれば実施でき、短時間で完了します。簡便でありながら、立位での前方バランス能力を反映する指標として用いられています。

測定手順

対象者は壁の横に立ち、肩の高さで前方に腕を水平に伸ばします。その状態の指先の位置を基準とし、足を動かさず可能な限り前方へ手を伸ばした位置との差を測ります。

  • 壁際に横向きで立ち、肩の高さに腕を上げる
  • 開始位置の指先の位置を記録する
  • 足を動かさず、できるだけ前方へ手を伸ばす
  • 最大到達位置との差を到達距離として記録する

測定時の注意点

踵が浮いたり、足を踏み出したり、壁に寄りかかったりすると正しい測定になりません。これらが起きないよう声かけし、必要なら無効として再施行します。

前方への移動はバランスを崩しやすいため、転倒に備えて検査者がガードできる位置に立ちます。複数回行い、安定した値を採用するのが一般的です。

結果の解釈

到達距離が大きいほど前方の安定性が高いと解釈されます。距離が短い場合は、前方への重心移動に対する制御や下肢の支持性に課題がある可能性を考えます。

到達距離は年齢とともに短くなる傾向が知られています。絶対値だけでなく、経過による変化や他の評価結果と合わせて総合的に判断することが重要です。

応用と発展

前方だけでなく、側方や後方を含めて測る多方向リーチの考え方もあります。方向ごとの差を見ることで、苦手な方向の安定性を特定できます。

また、座位で行うリーチ評価は、立位が難しい対象者の体幹バランスを見る代替手段になります。対象者の能力に応じて方法を選びます。

現場での活用

FRTは短時間・低コストで実施でき、立位バランスの初期評価や経過観察に向いています。トレーニング前後で測ると、改善を分かりやすく示せます。

結果は対象者と共有することで、目標設定や継続の動機づけに役立ちます。極端に到達距離が短い、強い不安定さがある場合は、より詳しい評価や医療連携を検討します。

医療免責

本記事は教育目的の学習コンテンツです。診断・治療行為を代替するものではありません。痛み・しびれ・急性外傷・発熱・進行性の症状や、医師から運動制限を受けている場合は、自己判断で進めず医師・国家資格者にご相談ください。

よくある質問

機能的リーチテストに必要なものは何ですか

壁に固定したものさしやメジャーと、安全に立てるスペースがあれば実施できます。特別な機器が不要なため、現場で導入しやすい評価です。

片麻痺などで片腕が上げにくい場合はどうしますか

上げやすい側で測る、座位でのリーチに変更するなど、対象者の状態に合わせて方法を調整します。条件を記録し、再評価でも同じ方法に統一します。

到達距離はどのくらいあれば良いですか

到達距離は年齢や体格でも変わるため、一律の合格ラインを示すのは難しいです。経過による変化や左右・方向の差に注目すると評価に活かしやすくなります。

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