救急対応の基礎

頭部・頸椎外傷への対応

頭や首の外傷は、見た目以上に重大なことがあります。脳振盪のサインを知り、頸椎を守りながら慎重に対応する基本を理解しましょう。

レベル 入門〜実践監修 日原 裕太 NSCA-CPT

頭部・頸椎外傷を疑う場面

接触プレーでの衝突、転倒や転落、頭部への直接の衝撃があった場合は、頭部や頸椎の損傷を念頭に置きます。とくに高所からの落下や、頭から落ちるような受傷では注意が必要です。

外見上の傷が小さくても、内部で重い損傷が起きていることがあります。受傷機転が大きい場合は、症状が軽く見えても慎重に対応します。

脳振盪のサイン

脳振盪は、頭部への衝撃で一時的に脳の機能に異常が生じる状態です。意識を失わなくても起こりえます。頭痛、めまい、吐き気、ぼんやりする、記憶が曖昧、光や音への過敏といった症状が現れることがあります。

これらのサインに気づいたら、ただちに運動を中止させ、安静にして経過を観察します。脳振盪が疑われる人を、その日のうちに運動へ戻すことは避けるべきとされています。

  • 頭痛・めまい・吐き気
  • ぼんやりする、反応が鈍い
  • 出来事の記憶が曖昧
  • 光や音への過敏、平衡感覚の異常

頸椎を保護するという視点

頭や首を強く打った人が倒れている場合、頸椎(首の骨)を傷めている可能性を常に念頭に置きます。むやみに体や首を動かすと、脊髄を傷つけ重い後遺症につながるおそれがあります。

意識がない、首の痛みやしびれを訴える場合は、首を動かさないよう声をかけ、頭を支えて安静を保ちます。救急隊の到着を待ち、搬送は専門の手技に委ねるのが原則です。緊急にやむを得ず動かす場合も、頭から足までを一直線に保ちます。

経過観察で注意すべき悪化のサイン

頭部外傷の後は、しばらく時間が経ってから症状が悪化することがあります。激しい頭痛の増強、繰り返す嘔吐、けいれん、意識がもうろうとする、手足の力が入らないといった変化は危険なサインです。

これらが現れた場合はただちに救急要請します。受傷当日は一人にせず、症状の変化を見守れる体制をとることが望まれます。

  • 頭痛がどんどん強くなる
  • 繰り返し嘔吐する
  • けいれんや意識の低下
  • 手足の脱力やろれつが回らない

復帰は慎重に判断する

脳振盪が疑われた場合の運動・競技復帰は、症状の回復を確認しながら段階的に進めることが推奨されています。自己判断で早く戻ると、回復が遅れたり、再受傷のリスクが高まったりするおそれがあります。

判断に迷う場合や症状が続く場合は、医療機関での評価を受けることが安全です。指導者は復帰を急がせず、本人の安全を最優先する姿勢が求められます。

医療免責

本記事は教育目的の学習コンテンツです。診断・治療行為を代替するものではありません。痛み・しびれ・急性外傷・発熱・進行性の症状や、医師から運動制限を受けている場合は、自己判断で進めず医師・国家資格者にご相談ください。

よくある質問

意識を失わなければ脳振盪ではないですか。

意識を失わなくても脳振盪は起こりえます。頭痛やめまい、ぼんやりする、記憶の曖昧さなどの症状があれば脳振盪を疑い、運動を中止して経過を観察してください。

倒れている人を楽な姿勢にしてあげてよいですか。

頭や首を打った可能性がある場合は、むやみに首を動かさないことが原則です。頸椎損傷のおそれがあるため、頭を支えて安静を保ち、搬送は救急隊に委ねてください。

脳振盪の後すぐ運動に戻ってよいですか。

脳振盪が疑われた当日は運動に戻さないことがすすめられます。復帰は症状の回復を確認しながら段階的に進め、迷う場合は医療機関の評価を受けてください。

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