疼痛科学

生物心理社会モデル|痛みを三つの側面から理解する

痛みは身体の問題だけでなく、心理や社会的な状況とも結びついています。これを統合的に捉えるのが生物心理社会モデルです。

レベル 入門〜実践監修 日原 裕太 NSCA-CPT

生物医学モデルの限界

従来は、痛みを組織の損傷という生物医学的な原因だけで説明しようとする見方が一般的でした。しかしこのモデルでは、画像所見と痛みが一致しない例や、慢性痛がうまく説明できないことがあります。

とくに慢性痛では、損傷の有無だけでは痛みの強さや持続を十分に理解できないことが知られています。

三つの側面

生物心理社会モデルは、痛みを生物・心理・社会の三側面が相互に影響し合う現象として捉えます。

  • 生物的側面は、組織・神経・炎症などの身体的要因
  • 心理的側面は、不安・恐怖・気分・痛みへの考え方
  • 社会的側面は、仕事・人間関係・生活環境・周囲の対応

相互作用としての痛み

これらの側面は別々に働くのではなく、互いに影響し合います。たとえば不安が痛みを強め、痛みが活動を減らし、活動低下がさらに不安や不調を招くといった循環が生じます。

現場での活用

運動指導では、身体の評価に加えて、生活や気持ちの面にも目を向けることが役立ちます。本人の不安や生活上の負担を理解した上で、安心できる目標と活動を一緒に設計します。

ただし心理面への深い介入は専門外であり、必要に応じて医療や心理の専門職へつなぐ判断が求められます。

注意点

心理社会的要因を重視することは、痛みを気のせいとみなすことではありません。痛みはあくまで本人にとって現実の体験であり、要因を多面的に理解しながら尊重する姿勢が前提になります。

医療免責

本記事は教育目的の学習コンテンツです。診断・治療行為を代替するものではありません。痛み・しびれ・急性外傷・発熱・進行性の症状や、医師から運動制限を受けている場合は、自己判断で進めず医師・国家資格者にご相談ください。

よくある質問

生物心理社会モデルとは何ですか

痛みを生物・心理・社会の三つの側面が相互に影響し合う現象として捉える枠組みで、身体的要因だけでなく心理や環境も含めて理解します。

心理社会的要因を重視すると痛みを軽視することになりませんか

なりません。痛みは本人にとって現実の体験であり、要因を多面的に理解することは、より適切で尊重的な関わりにつながります。

運動指導者が心理面にどこまで踏み込めますか

生活や不安への理解と安心の提供までが中心です。深い心理的介入は専門外であり、必要に応じて医療や心理の専門職に連携します。

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