発育発達学
発達の感受性期(臨界期)をどうとらえるか
ある能力には特に伸びやすい時期があると考えられています。この感受性期という概念を正しく理解することが、無理のない指導につながります。
感受性期と臨界期の違い
臨界期とは、ある機能の発達に決定的に重要とされる限られた時期を指す概念です。一方、感受性期はその時期に特に影響を受けやすいものの、前後でも発達の余地が残るという、よりゆるやかなとらえ方です。
近年は、運動能力に関しては厳密な臨界期というより、感受性期という柔軟な見方が適しているとされることが多くなっています。時期を過ぎたら不可能という極端な理解は避けるべきです。
神経系と感受性期
神経系が早期に発達することから、協調性やリズム、バランスなど神経系が関わる能力は幼少期から学童期に伸びやすいと考えられています。この時期に多様な動きを経験する意義はここにあります。
ただし伸びやすいというだけで、その後に習得できないという意味ではありません。時期を逃したと不安をあおるのではなく、適した時期に適した刺激を与えるという前向きな視点が大切です。
能力ごとの伸びやすい時期
一般に、神経系が関わる協調性などは比較的早い時期、体格や筋力に関わる能力は思春期以降に伸びやすいとされています。発育発達の流れに沿って優先順位を考える材料になります。
- 幼少期から学童期は神経系が関わる動きが伸びやすい
- 思春期以降は体格と筋力が伸びやすくなる
- 持久力は成長に伴い段階的に高まる
感受性期を絶対視しない
感受性期の考え方は便利ですが、年齢の区切りには個人差が大きく、研究によっても幅があります。特定の年齢を逃したら手遅れというような断定は適切ではありません。
過度に強調すると、保護者や指導者が焦って早期から専門化を急ぐ原因にもなりかねません。あくまで優先順位を考える参考として、柔軟に用いることが望まれます。
指導への落とし込み
感受性期の視点を活かすなら、幼少期から学童期は多様な動きの経験を、思春期は体格変化に対応した動作と段階的な負荷を、というように年代ごとの重点を整理できます。
重要なのは、その時期にしかできないと縛るのではなく、その時期に取り組むと取り組みやすいという前向きな指針として使うことです。
保護者への伝え方
保護者には、伸びやすい時期はあるが手遅れになる時期ではないことを丁寧に伝えると安心につながります。焦りからの過度な専門化や詰め込みを避けるうえでも、バランスのとれた説明が役立ちます。
医療免責
本記事は教育目的の学習コンテンツです。診断・治療行為を代替するものではありません。痛み・しびれ・急性外傷・発熱・進行性の症状や、医師から運動制限を受けている場合は、自己判断で進めず医師・国家資格者にご相談ください。
よくある質問
ゴールデンエイジを過ぎると運動はうまくなりませんか
そのようなことはありません。神経系が関わる動きは学童期に伸びやすいとされますが、その後も学習は可能です。時期を逃したと過度に心配する必要はなく、継続的な取り組みが大切です。
感受性期に合わせて専門種目を早く決めるべきですか
感受性期は多様な動きの経験を促す根拠にはなりますが、早期に種目を一つに絞る根拠にはなりにくいです。学童期はむしろ幅広い経験が推奨されることが多いと理解しておくとよいでしょう。
臨界期と感受性期はどちらの言葉を使えばよいですか
運動能力の文脈では、前後でも発達の余地があることを含意する感受性期のほうが実態に近いとされます。決定的という印象を与える臨界期は、解釈に注意して用いるのが無難です。
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