発育発達学

長期的アスリート育成(LTAD)という考え方

目先の勝利ではなく、長い目で選手を育てる。長期的アスリート育成の枠組みは、発育発達に沿った段階的な育成を重視します。

レベル 入門〜実践監修 日原 裕太 NSCA-CPT

LTADの基本理念

長期的アスリート育成(LTAD)は、子どもから成人まで長期的な視点で運動・スポーツの育成を考える枠組みです。年代ごとに適した内容を段階的に積み上げることを重視します。

背景には、早期の成績だけを追い求めると燃え尽きや早期離脱、ケガにつながりやすいという問題意識があります。生涯にわたって身体活動を楽しめることも重要な目標とされます。

段階的に育てる発想

LTADでは、幼少期は遊びを通じた基礎づくり、学童期は基本動作の習得、思春期以降は専門性や体力の向上というように、発育発達の流れに沿って重点を移していきます。

各段階で土台を整えておくことで、次の段階の取り組みがより効果的になります。順序を飛ばさないことが、長期的な成長を支える鍵とされています。

暦年齢と生物学的年齢

同じ学年でも成熟の進み具合は大きく異なります。LTADでは、暦年齢だけでなく成熟度などの生物学的年齢を考慮して、一人ひとりに合った内容を考える視点が重視されます。

  • 暦年齢は生まれてからの年数
  • 生物学的年齢は成熟の進み具合を表す
  • 同学年でも発達段階には大きな差がある

勝利偏重を避ける理由

若年期に勝つことだけを優先すると、勝ちやすい子に機会が集中し、成熟の遅い子が伸びる前に離脱してしまうことがあります。長期的には才能の取りこぼしにつながりかねません。

LTADは、勝敗そのものを否定するわけではなく、年代に応じてその比重を適切に置くことを促します。育成段階では発達と楽しさを優先する姿勢が推奨されます。

生涯にわたる運動参加

LTADの目標には、競技者の育成だけでなく、生涯にわたり身体活動を続ける人を増やすことも含まれます。早期にスポーツを嫌いにさせないことは、健康づくりの観点からも重要です。

競技で頂点を目指す道と、楽しみとして運動を続ける道の両方を尊重する考え方は、幅広い対象者を支える指導者にとって参考になります。

現場での活かし方

指導現場では、目の前の結果だけでなく数年先を見据えた育成を意識することがLTADの実践につながります。基礎を丁寧に積み上げ、成熟差に配慮した関わりを心がけます。

医療免責

本記事は教育目的の学習コンテンツです。診断・治療行為を代替するものではありません。痛み・しびれ・急性外傷・発熱・進行性の症状や、医師から運動制限を受けている場合は、自己判断で進めず医師・国家資格者にご相談ください。

よくある質問

LTADは競技志向の子だけのものですか

いいえ。競技で高みを目指す道と、楽しみとして運動を続ける道の両方を視野に入れる枠組みです。生涯にわたる身体活動の参加を支える点で、幅広い対象者に通じる考え方です。

段階を飛ばして専門練習を進めてはいけませんか

基礎が十分でないまま専門化を急ぐと、ケガや伸び悩み、早期離脱のリスクが高まると考えられています。発育発達に沿って段階的に積み上げることが、長期的な成長を支えます。

成熟の早い遅いはどう扱えばよいですか

暦年齢だけで一律に評価せず、成熟度を踏まえて関わることが大切です。早熟な子の優位は一時的なこともあり、晩熟な子の可能性を見守る姿勢が才能の取りこぼしを防ぎます。

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