筋力強化

運動器リハビリにおける筋力強化の進め方

筋力の回復はリハビリの中心的な目標の一つです。収縮様式と負荷を段階づけて選ぶことで、安全に筋力を取り戻せます。

レベル 入門〜実践監修 日原 裕太 NSCA-CPT

筋収縮の様式を理解する

筋収縮には、関節を動かさず力を発揮する等尺性収縮、関節を動かしながら一定の負荷で行う等張性収縮があります。等張性は筋が短くなる求心性と、伸びながら力を出す遠心性に分けられます。

痛みや術後の制限で関節を動かしにくい時期には等尺性収縮から始め、可動域や荷重が許される段階で動きを伴う収縮へ移行します。

過負荷と漸進性の原則

筋力を高めるには、日常で慣れている以上の負荷を加える過負荷の原則が基本です。同時に、負荷は一度に大きく上げず少しずつ増やす漸進性が安全のために重要です。

リハビリでは健常者のトレーニングよりも慎重に、痛みや腫脹の反応を見ながら負荷を調整します。

  • 回復段階に応じて等尺性から動的収縮へ進める
  • 負荷・回数・頻度を一度に変えず一つずつ調整する
  • 運動後の痛みや腫脹で負荷の適否を判断する

廃用性筋萎縮への対応

安静や固定が続くと筋は急速に萎縮し、筋力が低下します。固定中でも許される範囲で等尺性収縮を行うと、萎縮の進行をある程度抑えられると考えられています。

萎縮した筋の回復には時間がかかるため、早期から無理のない範囲で筋を働かせておくことが、後の回復をスムーズにします。

特異性を意識する

トレーニングの効果は行った運動に近い形で現れるという特異性の原則があります。最終的に必要な動作に近い肢位・速度・収縮様式で鍛えることが、機能回復には有効です。

  • 目標動作に近い肢位や速度で鍛える
  • 立ち座りや歩行など実用動作につなげる
  • 片側だけでなく左右差にも配慮する

安全に進めるための注意

息を止めて強く力むと血圧が急上昇することがあるため、特に高齢者や循環器疾患のある人では呼吸を止めない指導が大切です。痛みを増す負荷や代償動作が出る重さは避けます。

術後のプロトコルや荷重制限がある場合は、それを超える負荷を加えないことが前提です。判断に迷う場合は医療職に確認します。

医療免責

本記事は教育目的の学習コンテンツです。診断・治療行為を代替するものではありません。痛み・しびれ・急性外傷・発熱・進行性の症状や、医師から運動制限を受けている場合は、自己判断で進めず医師・国家資格者にご相談ください。

よくある質問

等尺性収縮から始めるのはなぜですか。

関節を動かさずに筋を働かせられるため、痛みや可動域制限、術後の固定がある時期でも比較的安全に筋を刺激できるからです。回復に応じて動きを伴う運動へ移行します。

筋力はどのくらいで戻りますか。

損傷の程度、安静期間、年齢などにより大きく異なります。萎縮した筋の回復には時間がかかることが多く、焦らず漸進的に負荷を上げることが結果的に近道になります。

リハビリ中に筋肉痛が出ても続けてよいですか。

軽い筋肉痛は運動の正常な反応のこともありますが、関節の痛みや腫脹を伴う場合は負荷が過大なサインです。反応を見ながら負荷を調整し、不安があれば医療職に相談してください。

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