1. 体重管理とエネルギーアベイラビリティ (EA)
アスリートの体重管理において最も重要な指標は、単なる摂取カロリーではなく「エネルギーアベイラビリティ (Energy Availability: EA)」です。これは、生命維持、健康、免疫、日常生活に必要なエネルギーがどれだけ残っているかを示します。
EA = (エネルギー摂取量 [kcal] – 運動エネルギー消費量 [kcal]) / 除脂肪体重 (FFM) [kg]
| EAレベル | 状態 | 身体への影響 |
|---|---|---|
| $ge 45$ kcal/kg FFM | 最適なEA | 健康的な生理機能、高いトレーニング適応 |
| 30〜45 kcal/kg FFM | 低EA(代償性) | パフォーマンス低下、免疫力低下の兆候 |
| $< 30$ kcal/kg FFM | 重度の低EA | 骨代謝異常、月経障害、多臓器系への悪影響 |
2. RED-S (相対的エネルギー不足) の多臓器への影響
RED-S (Relative Energy Deficiency in Sport) は、かつての「女性アスリートの三徴(Female Athlete Triad)」が進化した概念で、性別を問わず全臓器系に及ぼす影響を包括しています。
| 影響を受けるシステム | 主な症状・障害 |
|---|---|
| 内分泌系 | 甲状腺機能低下、エストロゲン・テストステロン減少 |
| 骨格系 | 骨密度低下、疲労骨折、骨粗鬆症 |
| 循環器系 | 徐脈、低血圧、血管内皮機能不全 |
| 免疫系 | 慢性的な疲労、頻繁な感染症 (URTI等) |
| 精神・心理 | 抑うつ、不安、食物への執着 |
3. 摂食障害とトレーナーの役割限界
神経性無食欲症 (AN)、神経性過食症 (BN)、回避・制限性食物摂取症 (ARFID) などの摂食障害(Eating Disorders)は、複雑な精神疾患です。
理解度チェッククイズ(5問)
Q1. エネルギーアベイラビリティ (EA) の分母として使用するのは?
✅ 正解:除脂肪体重 (FFM) [kg]
解説:脂肪組織を除いた「代謝的に活性な組織」あたりの利用可能エネルギーを算出するためです。
Q2. 一般的に「重度の低エネルギー状態」とみなされるEAの閾値は?
✅ 正解:30 kcal/kg FFM/日 未満
解説:この数値を下回ると、身体は生命維持モードに入り、生殖機能や骨代謝などの「優先順位の低い」機能を維持できなくなります。
Q3. RED-Sが骨格系に与える最も重大なリスクは?
✅ 正解:疲労骨折リスクの増大と骨密度の不可逆的な低下
解説:エネルギー不足はエストロゲン等の骨保護ホルモンを抑制し、骨形成を阻害するため、若年層でも骨粗鬆症定の状態になる可能性があります。
Q4. アスリートの摂食障害において、トレーナーが行べきではない行為は?
✅ 正解:独自の食事指導による無理な減量の促し
解説:心理的背景を考慮せず食事制限を強いることは、症状を悪化させる危険があります。専門家チームへの橋渡しが最優先です。
Q5. RED-Sによる循環器系への影響として代表的なものは?
✅ 正解:徐脈(心歩数の低下)と低血圧
解説:代謝の低下と交感神経活動の抑制により、安静時の心拍数が極端に低下し、心筋の萎縮を招く場合もあります。
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