上肢の運動連鎖(kinematic chain)を理解し障害予防と強化プログラムを設計できる
📋 前提 肩関節・肘・手の基礎解剖
- 1. 肩複合体の4関節
- 2. 肩甲上腕リズム
- 3. ローテーターカフ(腱板)4筋
- 4. 前腕・手首・手指の解剖
- 5. 上肢の運動連鎖
- 6. 易しい比喩
- 7. 章末問題
1. 肩複合体の4関節
| 関節 | 主な動き | 臨床的重要性 |
|---|---|---|
| 盂上腕関節(GH) | 屈曲/伸展/内外旋/外転/内転 | インピンジメント多発 |
| 肩甲胸郭関節(ST) | 前傾/後傾/外転/内転 | 肩甲骨安定が要 |
| 肩鎖関節(AC) | 微小回旋 | AC損傷(転倒・格闘技) |
| 胸鎖関節(SC) | 挙上/下制 | 肩甲帯の唯一の骨性連結 |
2. 肩甲上腕リズム
肩外転180°のうち肩甲骨が60°(1:2の比率)動く(肩甲上腕リズム)[1]。GH:ST = 2:1。肩甲骨の動的安定が失われると(翼状肩甲など)インピンジメントのリスク急増。前鋸筋(上方回旋)と僧帽筋下部(下制)の協調が鍵。
3. ローテーターカフ(腱板)4筋
| 筋 | 作用 | 障害 |
|---|---|---|
| 棘上筋 | 外転開始(0-30°) | 最多断裂(腱板損傷の70%) |
| 棘下筋 | 外旋(主力) | 投球障害・GIRD |
| 小円筋 | 外旋(補助) | 四辺形間隙症候群 |
| 肩甲下筋 | 内旋(最強) | 不全断裂で内旋拘縮 |
4. 前腕・手首・手指の解剖
回内筋: 円回内筋・方形回内筋。回外筋: 回外筋・上腕二頭筋(長軸)。
手首屈筋: 橈側手根屈筋・尺側手根屈筋・長掌筋。伸筋: 橈側手根伸筋(長/短)・尺側手根伸筋。
内在筋(手内筋): 骨間筋・虫様筋が指の精密動作を担う。
テニス肘(外側上顆炎): 総指伸筋付着部の腱症。ゴルフ肘(内側): 総指屈筋付着部[2]。
5. 上肢の運動連鎖
ベンチプレスの例: 下肢蹴り→骨盤固定→体幹剛性→肩甲骨安定→上腕→前腕→バー。どこかにリンクの弱さ(体幹弛緩・肩甲骨不安定)があると力伝達が損失する。スポーツ動作の上肢障害は多くが「体幹・肩甲帯の弱さ」が原点[3]。
6. 易しい比喩
上肢はチェーン。鎖の弱い環(肩甲帯・体幹)があると、力を入れるたびにその環が傷む。強化は末端(手・前腕)ではなく根本(体幹・肩甲帯)から始めるのが効率的。
7. 章末問題
- 肩甲上腕リズムのGH:ST比
- ローテーターカフ4筋の名前と主作用
- 棘上筋が最多断裂する理由
- テニス肘と外側上顆の関係
- ベンチプレスの運動連鎖(下肢→バー)
肩甲上腕リズム2:1。腱板4筋が動的安定を担い、前鋸筋+下部僧帽筋が肩甲骨を安定。上肢障害は体幹・肩甲帯の問題が起点。
腱板4筋(棘上/棘下/小円/肩甲下)+肩甲上腕リズム2:1+上肢運動連鎖を覚える歌
📚 参考文献
- Inman VT et al. J Bone Joint Surg Am. 1944;26(1):1-30
- Nirschl RP. Orthop Clin North Am. 1992;23(1):75-82
- Kibler WB et al. Am J Sports Med. 2013;41(11):2695-2705
テーマソング / cortis music
全身の骨206個覚え歌
📚 参考文献・推奨エビデンス
- Netter FH. (2019). Atlas of Human Anatomy, 7th Edition. Elsevier.
- Moore KL et al.. (2018). Clinically Oriented Anatomy, 8th Edition. Lippincott Williams & Wilkins.
- NSCA. (2021). NSCA’s Essentials of Personal Training, 3rd Edition. Human Kinetics.
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📚 参考文献・推奨エビデンス
- Netter FH. (2019). Atlas of Human Anatomy, 7th Edition. Elsevier.
- Moore KL et al.. (2018). Clinically Oriented Anatomy, 8th Edition. Lippincott Williams & Wilkins.
- NSCA. (2021). NSCA’s Essentials of Personal Training, 3rd Edition. Human Kinetics.