行動分析学

正の強化と負の強化:行動を増やす二つの仕組み

強化とは、行動の直後に生じる結果によって、その行動が将来増えることを指します。強化には正と負の二種類があり、両者の違いを理解することは指導の基本です。

レベル 入門〜実践監修 日原 裕太 NSCA-CPT

強化の定義

行動分析学では、ある行動の後に特定の結果が伴った結果として、その行動の頻度が増えたとき、その手続きを強化と呼びます。強化は望ましい行動を育てる中心的な原理です。

強化が成立したかどうかは、行動が実際に増えたかという結果で判断します。本人にとって良さそうに見えても行動が増えなければ、それは強化として機能していません。

正の強化とは

正の強化は、行動の直後に何かが加わることで行動が増える手続きです。ここでの正は、刺激が加わるという意味であり、良い悪いという価値判断ではありません。

運動指導では、フォームができたときの具体的な称賛、達成を可視化する記録、仲間からの承認などが正の強化子として働きうります。何を称賛するかを具体的に伝えると、どの行動が望ましいかが本人に伝わりやすくなります。

負の強化とは

負の強化は、行動の直後に不快なものが取り除かれることで行動が増える手続きです。負は、刺激が取り除かれるという意味で、罰とは異なる概念です。

たとえば、正しい姿勢をとると腰の不快感が和らぐ場合、その姿勢をとる行動は負の強化によって増えることがあります。不快が減るという経験が、その行動を支えます。

正と負を混同しないために

正の強化と負の強化は、どちらも行動を増やす点で共通しています。違いは、何かが加わるか、取り除かれるかという点だけです。

  • 正の強化は望ましい刺激が加わる
  • 負の強化は不快な刺激が取り除かれる
  • どちらも行動の頻度を増やす
  • 罰とは目的も結果も異なる

強化子の個人差

何が強化子として働くかは人によって大きく異なります。ある人には称賛が効果的でも、別の人には記録の達成感の方が響くことがあります。

そのため、画一的な方法に頼らず、その人にとって何が行動を増やすのかを観察しながら見極める姿勢が重要です。本人に好みを尋ねることも有効な手がかりになります。

現場で使う際の留意点

強化は即時に与えるほど効果的とされます。行動と結果の間が空くと結びつきが弱まるためです。

また、負の強化を意図的に用いる場合は、不快な状況を作り出すこと自体に倫理的な配慮が必要です。基本は正の強化を中心に組み立てることが望まれます。称賛が表面的にならないよう、具体的な行動に結びつけて伝えることも大切です。

医療免責

本記事は教育目的の学習コンテンツです。診断・治療行為を代替するものではありません。痛み・しびれ・急性外傷・発熱・進行性の症状や、医師から運動制限を受けている場合は、自己判断で進めず医師・国家資格者にご相談ください。

よくある質問

負の強化と罰は同じですか

異なります。負の強化は不快なものを取り除いて行動を増やす手続きで、罰は行動を減らす手続きです。目的も結果も逆の関係にあります。

正の強化に物を使うべきですか

物に限りません。称賛や承認、達成感なども強化子になります。物に頼りすぎると、それがないと行動しなくなる懸念があるため、内発的な要素も組み合わせます。

強化はいつ与えるのが効果的ですか

行動の直後が基本です。時間が空くほど行動と結果の結びつきが弱まるため、現場では即時のフィードバックが推奨されます。

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