老年学

認知機能と認知症:変化を理解して支える

加齢に伴う認知機能の変化と認知症の基礎を理解することは、安全で尊厳ある高齢者支援の土台になります。運動との関わりも整理します。

レベル 入門〜実践監修 日原 裕太 NSCA-CPT

加齢に伴う認知機能の変化

加齢により、新しい情報を処理する速度や、複数のことを同時に行う能力などは緩やかに低下しやすい一方、経験に基づく知識や語彙は比較的保たれやすいとされています。すべての認知機能が一様に低下するわけではありません。

正常な加齢による物忘れと、病的な認知機能低下は区別して考える必要があります。日常生活への支障の程度が一つの目安になります。

軽度認知障害という段階

認知機能の低下はあるものの、日常生活はおおむね自立している段階は軽度認知障害と呼ばれることがあります。この段階では、生活習慣の改善などにより状態が安定したり改善したりする可能性もあるとされています。

早期の気づきと適切な対応が重要であり、運動や社会参加を含む生活全体の支援が意味を持ちます。

認知症の基礎

認知症は、いったん発達した認知機能が後天的に低下し、日常生活に支障をきたす状態の総称です。原因となる疾患は複数あり、記憶障害が目立つものや、行動・性格の変化が前面に出るものなどさまざまです。

診断や治療は医療の領域であり、指導者は病態の理解を踏まえつつ、安全で尊厳を守る関わりを心がけることが役割になります。

運動と認知機能の関わり

身体活動は、認知機能の維持や生活の質の向上に良い影響を与えうると考えられています。運動と認知課題を組み合わせる取り組みも注目されています。

  • 有酸素運動を含む定期的な身体活動
  • 歩きながら計算するなど運動と認知を組み合わせる工夫
  • 本人が楽しめ、続けられる内容にする

関わり方の配慮

認知機能が低下した方への指導では、一度に多くを伝えない、短く具体的な言葉を使う、安全に配慮するといった工夫が役立ちます。本人のペースを尊重し、できることに目を向ける姿勢が大切です。

症状や対応に迷う場合は、家族や医療・介護の専門職と情報を共有し、チームで支える体制を意識します。

尊厳を守る支援

認知症があっても、その人らしさや感情は保たれています。できないことを指摘するのではなく、安心できる環境で活動を続けられるよう支えることが、専門職に求められる基本的な姿勢です。

医療免責

本記事は教育目的の学習コンテンツです。診断・治療行為を代替するものではありません。痛み・しびれ・急性外傷・発熱・進行性の症状や、医師から運動制限を受けている場合は、自己判断で進めず医師・国家資格者にご相談ください。

よくある質問

運動で認知症を予防できますか。

運動が認知機能に良い影響を与えうるとは考えられていますが、確実に予防できると断定はできません。生活習慣全体を整える一要素として位置づけるのが適切です。

物忘れがあると必ず認知症ですか。

加齢に伴う物忘れと病的な認知機能低下は区別されます。日常生活への支障の有無などが目安となり、心配な場合は医療機関での評価を勧めてください。

認知機能が低下した方への声かけのコツは何ですか。

短く具体的に伝える、一度に一つずつ説明する、本人のペースを尊重するといった工夫が役立ちます。安心感を与え、できることに注目する関わりが大切です。

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