老年学

ロコモティブシンドローム:移動機能の低下を防ぐ

ロコモティブシンドロームは運動器の障害により移動機能が低下した状態です。原因の理解と段階的な予防の考え方を整理します。

レベル 入門〜実践監修 日原 裕太 NSCA-CPT

ロコモティブシンドロームとは

ロコモティブシンドロームは、骨・関節・筋肉・神経などの運動器に障害が起こり、立つ・歩くといった移動機能が低下した状態を指す概念です。日本整形外科学会によって提唱され、略してロコモとも呼ばれます。

進行すると日常生活に支障が生じ、要介護のリスクが高まります。早めに気づき、対策を講じることが健康寿命の延伸につながると考えられています。

背景となる主な要因

ロコモの背景には、加齢に伴う運動器の変化や代表的な運動器疾患が関わります。複数の要因が重なって移動機能が低下していくことが多いとされています。

  • 変形性関節症などの関節の障害
  • 骨粗鬆症や脊椎の変化に伴う問題
  • サルコペニアなどの筋力低下
  • バランス機能の低下

気づきのための評価

ロコモの程度を把握する方法として、立ち上がり能力をみるテスト、歩幅を評価するテスト、日常生活の困りごとを問う質問票などが知られています。これらを組み合わせて移動機能の状態を確認します。

片脚立ちで靴下が履けない、家の中でつまずく、横断歩道を渡りきれないといった日常の困りごとも、気づきの手がかりになります。

予防のための運動

予防には、下肢の筋力とバランスを高める運動が中心となります。片脚立ちやスクワットなど、自宅でも取り組みやすい運動が広く紹介されています。

  • 支えのある場所で片脚立ちを行いバランスを養う
  • 椅子などを使い安全にスクワットで下肢を鍛える
  • 痛みのない範囲で無理なく継続する

生活習慣との関わり

運動器の健康には、運動だけでなく適切な栄養や適正体重の維持も関わります。骨や筋を支える生活全体を整える視点が、ロコモ予防では大切になります。

痛みが強い場合や進行している場合は、自己流の運動でかえって悪化することもあるため、整形外科などの医療機関への相談を勧めることが安全です。

健康寿命との関係

移動機能は自立した生活の土台です。ロコモを予防・改善することは、要介護状態を遠ざけ、本人の生活の質を保つうえで重要な意味を持ちます。早い段階からの取り組みが推奨されます。

医療免責

本記事は教育目的の学習コンテンツです。診断・治療行為を代替するものではありません。痛み・しびれ・急性外傷・発熱・進行性の症状や、医師から運動制限を受けている場合は、自己判断で進めず医師・国家資格者にご相談ください。

よくある質問

ロコモティブシンドロームは何歳から気をつけるべきですか。

高齢期に限らず、中年期から運動器の変化は始まるとされます。早い段階で運動習慣を整えておくことが、将来の移動機能の維持に役立ちます。

ロコモとフレイルはどう違いますか。

ロコモは運動器に着目した移動機能低下の概念で、フレイルは身体・精神・社会面を含むより広い虚弱の概念です。ロコモはフレイルの身体的側面に関わります。

自宅でできる予防運動はありますか。

支えを使った片脚立ちや椅子を使ったスクワットなどがよく紹介されています。痛みのない範囲で行い、不安があれば医療職に相談してください。

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