乳酸閾値(LT1/LT2)の生理的意味を理解し持久力トレーニングゾーンを設定できる
📋 前提 エネルギー代謝・有酸素システム
- 1. 乳酸の産生と代謝
- 2. 乳酸閾値の2段階(LT1・LT2)
- 3. VO2maxと持久力の関係
- 4. トレーニングゾーン設計
- 5. LT向上のための適応
- 6. 易しい比喩
- 7. 章末問題
1. 乳酸の産生と代謝
解糖系でピルビン酸生成→酸素不足または産生過多でLDH(乳酸脱水素酵素)が乳酸変換。乳酸は廃棄物ではなくエネルギー基質(コリ回路・心筋・酸化的代謝で再利用)[1]。安静時血中乳酸: 約1mMol/L。最大強度: 12-15mMol/L。
2. 乳酸閾値の2段階(LT1・LT2)
| 閾値 | 別名 | 強度 | 意味 |
|---|---|---|---|
| LT1 | AeT・VT1 | 約55-65%VO2max | 乳酸が基準値超え始める点 |
| LT2 | AnT・MLSS・VT2 | 約75-85%VO2max | 乳酸が急増・クリアランスが追いつかない点 |
LT2 = 「最高乳酸定常状態(MLSS)」= 持続可能な最大強度。マラソン・トライアスロンのレースペースがここに相当。
3. VO2maxと持久力の関係
VO2max(最大酸素摂取量)は持久力の天井。ml/kg/min単位。一般成人男性40-50、エリートランナー70-85。VO2max = CO(心拍出量) × a-vO2差(酸素利用率)。心臓が大きくなる(CO↑)とVO2maxが向上[2]。一方、レースパフォーマンスはVO2maxよりもLT2の%VO2max(どれだけVO2maxに近い強度を持続できるか)が重要。
4. トレーニングゾーン設計
| ゾーン | 強度 | 目的 | 量 |
|---|---|---|---|
| Zone 1-2 | LT1以下 | ミトコンドリア・回復 | 総量の70-80% |
| Zone 3 | LT1-LT2 | テンポ走・MLSS強化 | 10-15% |
| Zone 4-5 | LT2以上 | VO2max向上・HIIT | 10-15% |
「二極化(ポラライズド)トレーニング」: 低強度80%+高強度20%がエリート持久系選手に多い[3]。
5. LT向上のための適応
- ミトコンドリア数・サイズ↑(Zone 2中心)→乳酸酸化能力↑
- LDH-1(心筋型・乳酸→ピルビン酸方向)の増加
- MCT1(乳酸輸送体)増加→筋から血液への乳酸排出改善
- 毛細血管密度↑→O2供給改善・乳酸クリアランス↑
6. 易しい比喩
乳酸閾値は「道路の交通容量限界」。LT1はドライブが混み始める時速(乳酸が増え始める)、LT2は渋滞発生の限界速度(乳酸が急増・クリアランス不能)。持久力向上はこの「渋滞発生速度」を引き上げる工事。
7. 章末問題
- LT1とLT2の別名を2つずつ
- VO2maxよりもレースタイムに相関が高い指標
- 二極化トレーニングの強度配分
- ミトコンドリア数が増えると乳酸閾値が上がる理由
- 乳酸が単なる廃棄物でない理由
LT1=乳酸上昇開始点、LT2=MLSS=最大持続強度。二極化トレーニングでLTを引き上げるのが持久力向上の王道。
LT1/LT2+VO2max+二極化トレーニング(低強度80%/高強度20%)を覚える歌
📚 参考文献
- Brooks GA. J Physiol. 2009;587(23):5591-5600
- Bassett DR, Howley ET. Med Sci Sports Exerc. 2000;32(1):70-84
- Seiler S, Kjerland GO. Scand J Med Sci Sports. 2006;16(1):49-56
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カノン(white noise REMIX)
📚 参考文献・推奨エビデンス
- McArdle WD et al.. (2023). Exercise Physiology: Nutrition, Energy, and Human Performance, 9th Edition. Lippincott.
- ACSM. (2021). ACSM’s Guidelines for Exercise Testing and Prescription, 11th Edition. Wolters Kluwer.
- Kenney WL et al.. (2022). Physiology of Sport and Exercise, 7th Edition. Human Kinetics.
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まとめ:現場で活かすためのチェックポイント
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📚 参考文献・推奨エビデンス
- McArdle WD et al.. (2023). Exercise Physiology: Nutrition, Energy, and Human Performance, 9th Edition. Lippincott.
- Bassett DR & Howley ET. (2000). Limiting factors for maximum oxygen uptake and determinants of endurance performance. Med Sci Sports Exerc. DOI
- Kenney WL et al.. (2022). Physiology of Sport and Exercise, 7th Edition. Human Kinetics.