ミネラル

栄養学(基礎)

ミネラル ― 身体機能を調整する無機質

主要ミネラル(Ca/Mg/K/Na/Fe/Zn)の機能・欠乏症・食品源・推奨量、およびスポーツ貧血について解説します。

主要ミネラル一覧

ミネラル主な機能欠乏症食品源推奨量/日
カルシウム(Ca)骨・歯の形成(99%)、筋収縮、神経伝達、血液凝固骨粗鬆症・テタニー(筋痙攣)・成長障害牛乳・チーズ・小魚・小松菜・豆腐男750mg / 女650mg
マグネシウム(Mg)300以上の酵素反応に関与、筋弛緩、エネルギー代謝、神経安定筋痙攣・不整脈・疲労感・こむら返りアーモンド・ほうれん草・大豆・海藻・バナナ男370mg / 女290mg
カリウム(K)細胞内液の浸透圧維持、ナトリウム排泄促進、血圧調整筋力低下・不整脈・便秘バナナ・アボカド・ほうれん草・じゃがいも・トマト男2,500mg / 女2,000mg
ナトリウム(Na)細胞外液の浸透圧維持、神経伝達、栄養素吸収低ナトリウム血症(大量発汗時)・めまい・意識障害食塩・味噌・醤油・漬物食塩相当量:男7.5g未満 / 女6.5g未満
鉄(Fe)ヘモグロビン構成(酸素運搬)、ミオグロビン、エネルギー代謝鉄欠乏性貧血・疲労・運動能力低下・集中力低下レバー・赤身肉・あさり・ひじき・小松菜男7.5mg / 女10.5mg(月経あり)
亜鉛(Zn)タンパク質合成、免疫機能、味覚維持、テストステロン合成味覚障害・免疫低下・皮膚炎・成長遅延牡蠣・牛肉・豚レバー・チーズ・卵男11mg / 女8mg

スポーツ貧血

スポーツ貧血=運動量の多いアスリートに多発する貧血。以下の3つの原因が複合的に関与する:

① 溶血性貧血

ランニング等の足底衝撃で赤血球が物理的に破壊される。マラソン・バレーボール・剣道に多い。クッション性の高いシューズが予防に有効。

② 鉄損失の増加

大量の発汗(汗1Lあたり鉄0.3〜0.4mg損失)、消化管からの微量出血(高強度運動時)、尿中鉄排泄の増加。女性アスリートは月経と合わせてリスク倍増。

③ 希釈性貧血

持久系トレーニングで血漿量が増加し、相対的にヘモグロビン濃度が低下。実際の貧血ではないが検査値上は貧血に見える(偽性貧血)。

スポーツ貧血の予防と対策

食事からの鉄摂取

ヘム鉄(吸収率15〜25%):赤身肉・レバー・カツオ・マグロ。非ヘム鉄(吸収率2〜5%):ほうれん草・小松菜・ひじき。ビタミンCと同時摂取で非ヘム鉄の吸収率が2〜3倍に向上。

検査と基準値

ヘモグロビン:男13g/dL以上 / 女12g/dL以上。フェリチン(貯蔵鉄):30ng/mL以上が理想(12未満で鉄欠乏)。アスリートは3〜6ヶ月ごとの血液検査を推奨。鉄剤の自己判断投与は避け、医師の指導下で。

トレーニングで特に重要なミネラル

マグネシウム:筋収縮と弛緩のバランスに不可欠。不足するとこむら返り・パフォーマンス低下。日本人の約7割が不足傾向。

亜鉛:テストステロン合成に関与。筋肥大を目指すなら必須。トレーニング後の免疫低下予防にも。牡蠣5個で1日分をカバー。

ナトリウム:長時間運動時は水だけでなく塩分補給も必須。低ナトリウム血症は命に関わる。スポーツドリンクまたは塩タブレットを活用。

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📚 参考文献・推奨エビデンス

  1. Thomas DT et al.. (2016). American College of Sports Medicine Joint Position Statement: Nutrition and Athletic Performance. Med Sci Sports Exerc. DOI
  2. Phillips SM & Van Loon LJC. (2011). Dietary protein for athletes: From requirements to optimum adaptation. J Sports Sci. DOI
  3. Stanhope KL. (2016). Sugar consumption, metabolic disease and obesity. Crit Rev Clin Lab Sci. DOI

📋 この章の学習確認チェックリスト

以下の全項目を達成できたら、この章の習得完了です。

  • □ この栄養素の役割を3つ以上説明できる
  • □ 体重kg あたりの推奨摂取量を計算できる
  • □ 食品中の含有量(上位3食品)を答えられる
  • □ 欠乏・過剰摂取時の影響を説明できる
  • □ クライアントへの具体的な食事アドバイスができる
  • □ 運動・トレーニングとの相互作用を説明できる

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