タンパク質

栄養学(基礎)

タンパク質 ― 筋肉と身体をつくる栄養素

必須アミノ酸・アミノ酸スコア・PDCAAS・mTOR経路・摂取タイミングと量を体系的に解説します。

必須アミノ酸9種

体内で合成できず食事から摂取が必要なアミノ酸。覚え方:「フロバイスヒトリメリュー」

アミノ酸主な機能豊富な食品
ロイシン筋タンパク質合成の最強トリガー(mTOR活性化)鶏肉・牛肉・乳製品
イソロイシン糖の取り込み促進・筋肉修復鮭・卵・チーズ
バリン筋肉のエネルギー源・疲労軽減レバー・落花生
リジンコラーゲン合成・カルシウム吸収促進魚・大豆・肉類
メチオニン抗酸化・肝機能サポート卵・魚・ナッツ
フェニルアラニンドーパミン・ノルアドレナリン前駆体大豆・肉・魚
トレオニン腸粘膜保護・免疫機能卵・乳製品・ゼラチン
トリプトファンセロトニン→メラトニン合成(睡眠)バナナ・乳製品・大豆
ヒスチジンヒスタミン前駆体・成長促進カツオ・マグロ・鶏肉

タンパク質の質の評価

アミノ酸スコア

食品中の必須アミノ酸バランスを100点満点で評価。卵・牛肉・牛乳=100点。白米=65点(リジンが制限アミノ酸)。大豆=86点。複数食品の組み合わせでスコア改善が可能(相互補足効果)。

PDCAAS

Protein Digestibility Corrected Amino Acid Score。アミノ酸スコア×消化吸収率で算出。WHOが推奨する国際標準指標。カゼイン1.00、大豆0.91、小麦グルテン0.25。動物性タンパク質が総じて高スコア。

筋タンパク質合成(mTOR経路)

mTOR(mechanistic Target of Rapamycin)は筋タンパク質合成のマスタースイッチ。以下の3つの刺激で活性化される:

ロイシン刺激:1回の食事で2.5〜3gのロイシン(タンパク質約25〜30gに相当)で閾値に達する

機械的張力:レジスタンストレーニングによる筋への物理的負荷

インスリンシグナル:糖質との同時摂取でさらに促進

筋タンパク質合成(MPS)は摂取後1〜3時間でピークに達し、約5時間で基礎値に戻る。

摂取タイミングと1日の摂取量

摂取量の目安

一般成人:体重×0.8g
筋肥大期:体重×1.6〜2.2g
減量期:体重×2.0〜2.4g
70kgの場合=112〜168g/日

1回あたり

20〜40g/回が最適。40g超は合成促進効果が頭打ち。高齢者は1回40gが推奨(アナボリック抵抗性のため)。

タイミング

3〜5時間おきに均等摂取が最も効果的。ゴールデンタイム(運動後30分)の重要性は従来ほど高くないが、運動後2時間以内の摂取は推奨。就寝前のカゼイン摂取も有効。

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📚 参考文献・推奨エビデンス

  1. Thomas DT et al.. (2016). American College of Sports Medicine Joint Position Statement: Nutrition and Athletic Performance. Med Sci Sports Exerc. DOI
  2. Phillips SM & Van Loon LJC. (2011). Dietary protein for athletes: From requirements to optimum adaptation. J Sports Sci. DOI
  3. Stanhope KL. (2016). Sugar consumption, metabolic disease and obesity. Crit Rev Clin Lab Sci. DOI

📋 この章の学習確認チェックリスト

以下の全項目を達成できたら、この章の習得完了です。

  • □ この栄養素の役割を3つ以上説明できる
  • □ 体重kg あたりの推奨摂取量を計算できる
  • □ 食品中の含有量(上位3食品)を答えられる
  • □ 欠乏・過剰摂取時の影響を説明できる
  • □ クライアントへの具体的な食事アドバイスができる
  • □ 運動・トレーニングとの相互作用を説明できる

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