ビタミン・ミネラル | cortis栄養学

栄養学 Ch.4 | Nutrition

ビタミン・ミネラル

Vitamins & Minerals — 微量栄養素の機能と欠乏症・過剰症

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栄養学
ビタミン・ミネラル

1. 脂溶性ビタミン(A・D・E・K)

脂溶性ビタミンは脂質と共に吸収され、体内(主に肝臓・脂肪組織)に貯蔵される。過剰摂取で毒性を示す(特にA・D)ため注意が必要。

ビタミン 活性型 主な機能 欠乏症 過剰症
A(レチノール) レチナール・レチノイン酸 視覚(ロドプシン合成)・細胞分化・免疫・骨代謝 夜盲症・角膜乾燥・成長障害 頭痛・肝障害・催奇形性(妊婦注意)
D(カルシフェロール) 1,25-(OH)₂D₃(カルシトリオール) Ca/P吸収促進・骨石灰化・免疫調節・筋機能 くる病(小児)・骨軟化症(成人)・筋力低下 高Ca血症・腎結石(通常食品では過剰摂取困難)
E(トコフェロール) α-トコフェロール 抗酸化(脂質過酸化抑制)・免疫・赤血球保護 溶血性貧血・神経障害(重篤な欠乏) 出血傾向(抗凝固作用・高用量)
K(フィロキノン・メナキノン) ビタミンK₁(植物)・K₂(腸内細菌) 血液凝固因子活性化(II・VII・IX・X)・骨代謝(オステオカルシン活性化) 出血傾向(新生児に重要) 通常の食事では過剰毒性なし
CLINICAL: ビタミンDの「隠れた不足」

日本人の約50〜80%が血中25-OHD値30 ng/mL未満という調査がある。屋内勤務・日焼け止め使用・食事からの摂取不足が原因。不足が続くと骨密度低下・筋力低下・免疫機能低下・うつ症状などのリスクが増加する。スクリーニング(血液検査)と適切な補給(1,000〜4,000 IU/日)が推奨される。

2. 水溶性ビタミン(B群・C)

水溶性ビタミンは過剰分が尿中に排泄されるため毒性は低い(例外: B6の末梢神経障害、ナイアシンの肝障害)。多くは補酵素として代謝反応に必須。

ビタミン 補酵素形態 主な機能 欠乏症
B1(チアミン) TPP(チアミンピロリン酸) ピルビン酸デヒドロゲナーゼ・α-ケトグルタル酸脱水素酵素補酵素→エネルギー代謝 脚気(末梢神経障害)・ウェルニッケ脳症(アルコール依存症)
B2(リボフラビン) FMN・FAD 酸化還元反応(電子伝達系FADH₂の構成要素)・脂肪酸β酸化 口角炎・舌炎・皮膚炎(アリボフラビン症)
B3(ナイアシン) NAD⁺・NADP⁺ 解糖系・TCA回路・β酸化での水素受容体。DNA修復 ペラグラ(皮膚炎・下痢・認知症)
B5(パントテン酸) CoA(補酵素A) アセチルCoA形成の中核。脂肪酸合成・TCA回路・ステロイド合成 実際上の欠乏は稀(広く食品に存在)
B6(ピリドキシン) PLP(ピリドキサル5-リン酸) アミノ基転移・脱炭酸・グリコーゲン分解。セロトニン・ドーパミン合成 末梢神経障害・貧血(過剰でも末梢神経障害)
B7(ビオチン) ビオチン(カルボキシラーゼ補酵素) 脂肪酸合成・糖新生・分岐鎖アミノ酸代謝 生卵白大量摂取で欠乏(アビジンがビオチン拮抗)
B9(葉酸) THF(テトラヒドロ葉酸) 1炭素転移反応。核酸合成(DNA/RNA)・メチル化反応 巨赤芽球性貧血・神経管閉鎖障害(妊娠初期に致命的重要性)
B12(コバラミン) メチルコバラミン・アデノシルコバラミン メチオニン合成・奇数鎖脂肪酸代謝・ミエリン鞘維持 巨赤芽球性貧血・亜急性脊髄変性症(ビーガンで要注意)
C(アスコルビン酸) 還元型アスコルビン酸 コラーゲン合成(プロリン水酸化)・抗酸化・鉄吸収促進・カルニチン合成 壊血病(コラーゲン合成障害→皮下出血・歯茎出血)

3. 主要ミネラル(1日100mg以上必要)

ミネラル 体内量 主な機能 食品源 欠乏リスク集団
カルシウム(Ca) 約1,000g(骨99%) 骨・歯の形成。筋収縮(Ca²⁺トリガー)。神経伝達。凝固因子 乳製品・小魚・豆腐・緑葉野菜 乳製品除去・ビタミンD欠乏者・閉経後女性
リン(P) 約600g(骨・歯85%) ATP・細胞膜(リン脂質)・DNA/RNA構成成分。酸塩基平衡 ほぼ全食品。加工食品の添加物(過剰リスク) 欠乏は稀。加工食品過剰摂取でCaとのバランス崩壊リスク
マグネシウム(Mg) 約25g(骨60%) 300以上の酵素反応補因子。ATP合成(Mg-ATP複合体)。タンパク質合成。DNA安定化 ナッツ・種実・全粒穀物・緑葉野菜 アスリート・アルコール過剰・高齢者・糖尿病患者
ナトリウム(Na) 約90g(細胞外液主要陽イオン) 細胞外液浸透圧・神経伝達・筋収縮・酸塩基平衡 食塩・加工食品 過剰摂取が主問題(高血圧)。長時間運動では欠乏→低Na血症
カリウム(K) 約140g(細胞内液主要陽イオン) 細胞内液浸透圧。膜電位(ナトリウムポンプ)。心臓リズム。血圧調整 バナナ・芋類・豆類・緑黄色野菜 低カリウム食・利尿薬使用・嘔吐・下痢

4. 微量元素(1日100mg未満で十分)

微量元素 主な機能 欠乏症 高リスク集団
鉄(Fe) ヘモグロビン・ミオグロビン・シトクロム(電子伝達系)の構成。酸素運搬 鉄欠乏性貧血(世界最多の栄養欠乏症)。疲労感・運動耐性低下 月経のある女性・持久系アスリート(足底溶血)・ビーガン
亜鉛(Zn) 300以上の酵素活性中心。免疫(T細胞機能)・創傷治癒・タンパク質合成・インスリン貯蔵 成長障害・味覚・嗅覚障害・免疫機能低下・皮膚炎 菜食主義者(植物性Znはフィチン酸で吸収阻害)・アスリート
ヨウ素(I) 甲状腺ホルモン(T3・T4)の構成成分 甲状腺腫・クレチン症(胎児期欠乏→知的障害・成長障害) 内陸地域・海藻摂取少ない地域
セレン(Se) グルタチオンペルオキシダーゼ(抗酸化)・ヨウ素代謝・免疫 克山病(心筋症)・カシン・ベック病(骨関節症) Se欠乏土壌地域(中国内陸部・フィンランド等)
銅(Cu) スーパーオキシドジスムターゼ(Cu/Zn-SOD)・鉄代謝・コラーゲン架橋 貧血・骨粗しょう症様変化・神経障害(稀) 亜鉛サプリ過剰(CuとZn競合)・未熟児
クロム(Cr) インスリン作用増強(GTF: グルコース耐性因子)。血糖調節補助 インスリン抵抗性(重篤な欠乏時) 長期完全静脈栄養患者

5. アスリートの微量栄養素

アスリートは発汗・エネルギー代謝亢進・身体的ストレスにより特定の微量栄養素が枯渇しやすい。

栄養素 リスク スクリーニング方法 対策
足底溶血・月経・食事量制限で欠乏リスク高 フェリチン(貯蔵鉄)+Hb+血清鉄+TIBC フェリチン30 ng/mL以上を目標。ヘム鉄(赤肉・レバー)+ビタミンC同時摂取
ビタミンD 屋内練習・防護服着用アスリートは不足リスク大 血清25-OHD(目標30〜50 ng/mL) 欠乏者は1,000〜4,000 IU/日。日光浴も有効
マグネシウム 発汗・高カロリー消費で損失大。精製食品中心の食事で不足 血清Mg(正常0.7〜1.0 mmol/L。但し細胞内Mgは反映しにくい) 全粒穀物・ナッツ・種実・緑葉野菜。必要時にMg補給(クエン酸Mg等)
亜鉛 発汗による損失。ビーガン・ベジタリアンの吸収阻害 血清Zn(正常80〜120 μg/dL) 動物性食品(牡蠣・赤肉)or 亜鉛補給。植物性食品はソーキングや発酵でフィチン酸軽減

6. サプリメント選択の原則

KEY POINT: 食品ファースト原則

  • サプリメントは「食事だけでは摂れない場合の補完」であり、食品に取って代わるものではない
  • 単一栄養素の高用量補給は相互作用・競合を引き起こす(例: 高用量Ca→Mg・Zn・Fe吸収阻害)
  • アスリートはアンチドーピング対応の第三者認証サプリ(NSF Certified、Informed Sport等)を選ぶ
  • スクリーニング(血液検査)で欠乏を確認してから補給することが推奨される

考察問題

  1. ビタミンDがカルシウム吸収を促進するメカニズムを遺伝子発現レベルで説明せよ。
  2. 女性持久系アスリートに鉄欠乏が多い理由を3つ以上挙げ、食事での対策を述べよ。
  3. ビタミンB12欠乏がビーガンアスリートで問題となる理由と補給方法を説明せよ。

📝 確認テスト|栄養学 Ch.4:ビタミン・ミネラルとサプリメント

全5問・正解はすぐに表示されます

Q1. 「ビタミンD(カルシフェロール)」の主要な生理作用として正しいものはどれか?

不正解。ビタミンDは補酵素ではなく、ステロイドホルモン様に核内受容体(VDR)を介して遺伝子発現を制御します。

正解!活性型ビタミンD(1,25-OH2-D)はVDRを介してカルシウム結合タンパク質(Calbindin)遺伝子を活性化し腸管Ca吸収を増大。さらに筋収縮・免疫調節・骨代謝全般に広く関与します。不足でType II筋線維の萎縮が起こります。

不正解。ヘモグロビン合成の補因子は鉄・ビタミンB6・葉酸・ビタミンB12などです。

不正解。グリコーゲン合成の直接的な調節はインスリンが担います。

Q2. 激しい有酸素運動を継続するアスリートで「鉄欠乏性貧血(Sports Anemia)」が起こりやすい理由として最も重要なものはどれか?

不正解。発汗による鉄喪失は相対的に少量です(汗中Feは約0.3mg/L)。

正解!スポーツ貧血の主因は①脚底打撃による溶血(Intravascular Hemolysis)、②消化管微小出血、③尿中ヘモグロビン、④摂取不足です。特に女性・長距離ランナー・채食主義者でリスクが高いです。

不正解。筋肉への鉄吸収増大が直接の貧血原因にはなりません。

不正解。肝臓フェリチンは短期的には動員されますが、「急激な枯渇」は適切な表現ではありません。

Q3. 「マグネシウム(Mg)」の主要な生理的役割として正しいものはどれか?

不正解。ヘモグロビンの中心元素は鉄(Fe)です。マグネシウムはクロロフィルの中心元素です。

正解!MgはATPとMg-ATPとして複合体を形成し、全ATP依存性反応に必須です。また神経筋の興奮性制御(Caと拮抗)・DNA合成・タンパク質合成にも関与。不足で筋痙攣・不整脈が起こります。

不正解。脂溶性ビタミン吸収のミセル形成は胆汁酸が担います。

不正解。コラーゲン合成にはビタミンC(プロリン水酸化)・亜鉛が重要です。Mgは補因子として関与しますが「直接基質」ではありません。

Q4. 「亜鉛(Zinc)」がスポーツ・健康分野で特に重要な理由として正しいものはどれか?

不正解。電子伝達系の金属成分は鉄・銅・モリブデンが主です。

正解!亜鉛は①5-αリダクターゼ・17β-HSD(テストステロン合成酵素)の補因子、②300以上の酵素(RNA/DNAポリメラーゼ)、③胸腺T細胞分化、④コラーゲン架橋などに関与。不足でテストステロン低下・創傷治癒遅延が起こります。

不正解。カルシウム吸収を主に調節するのはビタミンD(カルビンジン誘導)です。

不正解。亜鉛はインスリン結晶形成に関与し、インスリン分泌を支持しますが「阻害」ではありません。

Q5. クレアチン(Creatine)サプリメントのローディングプロトコルとして標準的なものはどれか?

正解!標準的クレアチンローディングは①ローディング相:0.3g/kg/日(約20g/日)を5〜7日間で筋PCr貯蔵を飽和→②維持相:3〜5g/日。または低用量(3〜5g/日)を4週間継続でも同等の飽和が達成されます。

不正解。100g一回摂取は消化器症状(下痢・胃痛)を引き起こし推奨されません。

不正解。間欠的大量摂取は筋PCr飽和に非効率です。

不正解。筋のクレアチン飽和には上限があり、過剰摂取は尿中クレアチニンとして排泄されます。

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