ヘルスプロモーション

場(セッティング)を通じた健康づくり

個人ではなく人々が日常を過ごす「場」そのものに働きかけることで、健康的な選択を当たり前にしていくのがヘルシーセッティングの発想です。

レベル 入門〜実践監修 日原 裕太 NSCA-CPT

セッティングアプローチとは

ヘルシーセッティング(場を通じた健康づくり)は、人々が生活・学習・労働・余暇を過ごす場の環境や仕組みに働きかけ、その場にいる人全体の健康を高めようとする考え方です。オタワ憲章が掲げた「健康を支援する環境づくり」を具体化した取り組みといえます。

個人への啓発だけに頼らず、場の条件を整えることで、特別な意志がなくても健康的な選択をしやすくする点が特徴です。

代表的なセッティング

WHOなどの取り組みの中で、いくつかの場が代表的なセッティングとして発展してきました。それぞれの場の特性に応じた働きかけが行われます。

  • ヘルシースクール(健康的な学校):子どもの健康と学習環境を一体で整える
  • ヘルシーワークプレイス(健康的な職場):働く人の心身の健康を支える
  • ヘルシーシティ(健康都市):都市政策に健康の視点を組み込む
  • ヘルシーホスピタル(健康増進病院):医療機関自体が健康増進の拠点になる

なぜ場に着目するのか

人の行動は意志だけでなく、周囲の環境に強く影響されます。階段が使いやすい、運動できるスペースがある、健康的な食事を選びやすいといった環境は、無理なく健康的な行動を後押しします。

場に働きかけることで、多くの人に同時に、しかも持続的に影響を及ぼせる点が、個別アプローチにはない強みです。

職場における取り組み例

職場は成人が長い時間を過ごす重要なセッティングです。運動指導者が関わる場面として、企業の健康づくり支援が挙げられます。休憩時間のストレッチ導入や、立ち作業・歩行を促す環境整備などは、場に働きかける典型的な例です。

運動指導者の関わり方

個人指導に加えて、その人が所属する場の環境に目を向けると、支援の幅が広がります。たとえば家庭での運動環境づくりの提案や、地域・職場での運動機会の提供は、セッティングアプローチの考え方を現場に取り入れたものといえます。

取り組みの注意点

場への働きかけは効果が広い一方で、組織や政策の関与が必要になり、個人指導より時間と調整を要します。関係者の合意形成を丁寧に進め、その場の文化や事情に合わせて設計することが成功の鍵になります。

医療免責

本記事は教育目的の学習コンテンツです。診断・治療行為を代替するものではありません。痛み・しびれ・急性外傷・発熱・進行性の症状や、医師から運動制限を受けている場合は、自己判断で進めず医師・国家資格者にご相談ください。

よくある質問

セッティングアプローチと個別の健康指導の違いは何ですか。

個別指導は個人の知識や行動に働きかけるのに対し、セッティングアプローチは場の環境や仕組みに働きかけ、その場の人全体に持続的に影響を与えようとします。

代表的なセッティングにはどのようなものがありますか。

学校・職場・都市・病院などが代表的です。それぞれヘルシースクール、ヘルシーワークプレイスなどと呼ばれ、場の特性に応じた取り組みが行われます。

運動指導者でもセッティングアプローチに関われますか。

関われます。家庭や職場の運動環境づくりの提案、地域での運動機会の提供などは、場に働きかける考え方を現場に取り入れた実践です。

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