記憶

記憶のシステム 情報を保持し取り出す仕組み

記憶は単一の倉庫ではなく、保持時間や役割の異なる複数のシステムから成ります。仕組みを理解すると、覚えやすい指導や練習の設計に活かせます。

レベル 入門〜実践監修 日原 裕太 NSCA-CPT

記憶の三段階モデル

古典的なモデルでは、記憶は感覚記憶、短期記憶、長期記憶の三段階で説明されます。情報はまず感覚記憶にごく短く保たれ、注意を向けたものが短期記憶に入り、繰り返しや意味づけによって長期記憶へ移ります。

  • 感覚記憶 ごく短い間だけ感覚情報を保持する
  • 短期記憶 数十秒ほど少数の項目を保持する
  • 長期記憶 長期間にわたり大量の情報を保持する

ワーキングメモリ

ワーキングメモリは、情報を一時的に保持しながら同時に処理する働きを指します。暗算や指示の理解など、考えながら覚えておく場面で使われます。

ワーキングメモリの容量には限りがあり、一度に扱える項目は多くありません。指導で一度に多くを伝えすぎると処理しきれなくなります。

長期記憶の種類

長期記憶は内容によって分けられます。言葉で説明できる宣言的記憶と、技能のように体で覚える手続き記憶があります。運動の習得は主に手続き記憶に支えられています。

  • エピソード記憶 出来事や経験の記憶
  • 意味記憶 知識や事実の記憶
  • 手続き記憶 動作や技能の記憶

忘却の仕組み

覚えたことは時間とともに思い出しにくくなります。これは記憶が消えるだけでなく、取り出す手がかりが失われることでも起こります。適切な間隔をあけて復習すると、定着が進みやすくなります。

覚えやすくする工夫

意味づけや関連づけ、自分の言葉での言い換えは記憶を助けます。情報をいくつかのまとまりにまとめるチャンク化も、限られた容量を有効に使う方法です。

  • 新しい情報を既知の知識と結びつける
  • 情報を意味のあるまとまりに分ける
  • 間隔をあけて繰り返し練習する

運動指導への応用

動作の習得は手続き記憶に基づくため、説明だけでなく反復と適切なフィードバックが欠かせません。一度に多くの指示を出すとワーキングメモリを超えるため、要点を絞って段階的に積み上げることが効果的です。

医療免責

本記事は教育目的の学習コンテンツです。診断・治療行為を代替するものではありません。痛み・しびれ・急性外傷・発熱・進行性の症状や、医師から運動制限を受けている場合は、自己判断で進めず医師・国家資格者にご相談ください。

よくある質問

ワーキングメモリと短期記憶は同じですか

近い概念ですが同一ではありません。短期記憶が一時保持を指すのに対し、ワーキングメモリは保持しながら同時に処理する働きを強調した考え方です。

運動の習得はどの記憶に支えられますか

主に手続き記憶です。体で覚える技能の記憶であり、説明だけでなく反復練習と適切なフィードバックによって定着します。

覚えたことを定着させるコツはありますか

意味づけや既知の知識との関連づけ、情報のまとまり化、そして間隔をあけた復習が効果的とされています。

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