発達心理学
エリクソンの心理社会的発達:生涯にわたる課題
エリクソンは、人は生涯を通じて各段階に固有の心理社会的課題に取り組むと考えました。年代ごとのテーマを知ると、関わり方の方向性が見えてきます。
心理社会的発達理論の特徴
エリクソンは、人格の発達が生涯にわたって続くと考え、人生を8つの段階に分けました。各段階には、その時期に取り組むべき発達課題があり、それを乗り越えることで人格が成熟していくとされます。
課題は「信頼か不信か」のように対になった形で示され、肯定的な側面が優勢になることが望ましいとされます。ただし片方を完全に達成すれば終わりというものではありません。
乳児期から児童期までの課題
人生の前半では、まわりとの関わりを通じて自己の基盤が築かれていきます。
- 乳児期:基本的信頼か不信か。養育者との関係で世界への信頼感が育つ
- 幼児期初期:自律性か恥・疑惑か。自分でやろうとする力が芽生える
- 遊戯期:自発性か罪悪感か。自ら計画し挑戦する力が育つ
- 学童期:勤勉性か劣等感か。努力して成し遂げる経験が自信を支える
青年期の課題:同一性の確立
青年期の中心課題は、自分は何者かという感覚、すなわちアイデンティティ(自己同一性)の確立です。さまざまな役割を試しながら、自分らしさを統合していきます。
この時期に自己像が定まらず混乱する状態は、同一性の拡散と呼ばれます。運動やスポーツでの成功体験や所属感が、自己像の支えになることもあります。
成人期の課題
成人前期では、他者と深い関係を築く親密性が課題になります。中年期では、次の世代を育て支える世代継承性(生殖性)が中心となります。
運動指導では、健康を守りつつ家庭や仕事の役割を果たしたいという成人期の動機を理解すると、継続支援の言葉が選びやすくなります。
老年期の課題:統合
老年期の課題は、自分の人生を受け入れて意味づける統合と、後悔にとらわれる絶望の対比とされます。これまでの歩みを肯定的に振り返れることが、心の安定につながります。
高齢者への運動支援では、できないことに注目するより、これまでの経験や今できることを尊重する関わりが大切です。
現場で活かす視点
各年代に固有のテーマを知っておくと、励ましや目標設定の言葉を相手に合わせやすくなります。子どもには挑戦と達成、青年には所属と自己表現、成人には役割との両立、高齢者には尊厳の尊重、といった具合です。
理論はあくまで枠組みであり、すべての人に同じように当てはまるわけではない点には留意しましょう。
医療免責
本記事は教育目的の学習コンテンツです。診断・治療行為を代替するものではありません。痛み・しびれ・急性外傷・発熱・進行性の症状や、医師から運動制限を受けている場合は、自己判断で進めず医師・国家資格者にご相談ください。
よくある質問
エリクソンの発達段階はいくつありますか。
乳児期から老年期までの8段階で構成されています。各段階に、その時期特有の心理社会的な発達課題が設定されています。
青年期の発達課題は何ですか。
自分は何者かという感覚、すなわちアイデンティティ(自己同一性)の確立が中心課題とされます。役割を試しながら自分らしさを統合していきます。
高齢者への関わりにどう活かせますか。
老年期は人生を受け入れ意味づける統合が課題とされます。できないことより、これまでの経験や今できることを尊重する関わりが心の安定につながります。
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