発達心理学

発達段階の全体像:生涯発達という視点

発達心理学は、人の心と身体が生涯にわたってどう変化するかを扱う学問です。まずは発達段階の全体像をつかみ、年齢に応じた関わり方の土台を作りましょう。

レベル 入門〜実践監修 日原 裕太 NSCA-CPT

発達心理学とは何を扱う学問か

発達心理学は、受精から死に至るまでの人の心理的・身体的変化を体系的に研究する分野です。かつては子どもの発達が中心でしたが、現在では成人期や老年期も含めた生涯発達という見方が一般的になっています。

運動指導の現場では、相手の年齢や発達段階によって、できること・理解できること・動機づけのされ方が大きく異なります。発達心理学の知識は、こうした個人差を年齢という軸から整理する手がかりになります。

代表的な発達段階の区分

発達段階の区分には複数の考え方がありますが、一般的には次のような時期に分けて理解されます。

  • 乳児期:生後およそ1歳前後まで。基本的な信頼関係と運動の土台が形成される
  • 幼児期:おおむね1〜6歳。言語と基本的動作が急速に発達する
  • 児童期:小学校年代。仲間関係や勤勉性が育ち、運動スキルが洗練される
  • 青年期:思春期から成人前まで。身体的成熟と自己同一性の課題が中心になる
  • 成人期:心身が安定し、社会的役割が広がる時期
  • 老年期:加齢に伴う変化に適応し、人生を統合していく時期

遺伝と環境の相互作用

発達は、生まれもった素質(遺伝)と、育つ環境のどちらか一方だけで決まるものではありません。両者が互いに影響し合いながら進むという相互作用説が、現在では広く支持されています。

たとえば運動の得意・不得手も、もともとの身体的特性と、幼少期からの運動経験や周囲の働きかけが組み合わさって形づくられます。指導者は環境側の要因を整える役割を担えます。

発達の連続性と段階性

発達には、徐々に積み重なっていく連続的な側面と、ある時期に質的な変化が起こる段階的な側面の両方があります。どちらの見方を重視するかは理論によって異なります。

現場では、目の前の人が今どの段階にいるかをおおまかに把握しつつ、個人差が大きいことも前提にすると、過度な一般化を避けられます。

発達の規則性と個人差

発達には、寝返りより先に座位、座位より先に歩行というように、おおむね共通する順序性があります。一方で、その時期や速度には大きな個人差があります。

「平均より遅い」ことが直ちに問題を意味するわけではありません。気になる遅れがある場合は、決めつけず、医療や専門機関への相談を促す姿勢が大切です。

運動指導への活かし方

発達段階の全体像を理解すると、子どもには遊びの要素を、高齢者には安全と自立支援を、というように、相手に合わせた指導方針を立てやすくなります。

年齢を手がかりにしつつも、最終的には一人ひとりの状態を観察して調整する。この姿勢が、発達心理学を現場で活かす基本になります。

医療免責

本記事は教育目的の学習コンテンツです。診断・治療行為を代替するものではありません。痛み・しびれ・急性外傷・発熱・進行性の症状や、医師から運動制限を受けている場合は、自己判断で進めず医師・国家資格者にご相談ください。

よくある質問

発達心理学は子どもだけを対象にした学問ですか。

いいえ。現在は受精から老年期までの生涯にわたる変化を扱う、生涯発達の視点が主流です。成人や高齢者の発達も重要な研究対象です。

発達段階の区分はひとつに決まっていますか。

区分の仕方は理論や目的によって複数あります。乳児期・幼児期・児童期・青年期・成人期・老年期といった区分が一般的によく用いられます。

発達が平均より遅いと問題があるのでしょうか。

発達の時期や速度には大きな個人差があり、遅れが直ちに問題を意味するとは限りません。気になる場合は決めつけず、専門機関への相談を勧めるのが適切です。

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