力学の基礎とニュートンの法則 | バイオメカニクス Ch.1

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BIOMECHANICS Ch.1

力学の基礎とニュートンの法則

ベクトル・地面反力・トルク・重心の基礎知識

このページで学べること

  • スカラー量とベクトル量の違い
  • ニュートンの3法則(慣性・加速度・作用反作用)
  • 地面反力(GRF)と床反力板
  • トルクと回転運動
  • 重心(COG)と安定性

1. スカラー量とベクトル量

力学では2種類の量を区別する必要があります。スカラー量は大きさのみを持ち(例:体重60kg、速さ10m/s)、ベクトル量は大きさと方向の両方を持ちます(例:力100N下向き、速度10m/s北向き)。

スカラー量の例

  • 質量(kg)
  • 速さ(m/s)
  • 仕事量(J)
  • 温度(℃)

ベクトル量の例

  • 力(N)
  • 速度(m/s)
  • 加速度(m/s²)
  • 変位(m)

2. ニュートンの3法則

第1法則:慣性の法則

外力が加わらない限り、静止している物体は静止し続け、運動している物体は等速直線運動を続ける。トレーニング応用:バーベルを持ち上げる際、最初の慣性を克服するための力が最大になる。

第2法則:加速度の法則

F = ma(力 = 質量 × 加速度)。同じ力でも質量が大きいほど加速度は小さくなる。トレーニング応用:重いバーベルほど同じ加速度を得るために大きな力が必要。

第3法則:作用反作用の法則

全ての作用には、大きさが等しく方向が反対の反作用がある。トレーニング応用:地面を蹴る力(作用)に対し、地面から同じ大きさの反力(GRF)が返ってくる。

3. 地面反力(GRF)

地面反力(Ground Reaction Force: GRF)とは、身体が地面を押す力に対して地面から返ってくる反力です。ニュートン第3法則の実例です。

GRFの3成分

  • 垂直成分(Fz): 体重支持・衝撃吸収。歩行時は体重の約1.2倍、走行時は約3倍
  • 前後成分(Fy): 推進力・制動力。走行の加速・減速に関与
  • 左右成分(Fx): 側方安定性。方向転換動作で重要

4. トルク(モーメント)

トルク(Torque)は回転を引き起こす力のモーメントです。

トルクの計算式

T = F × d(トルク = 力 × モーメントアーム)

モーメントアームとは、回転軸から力の作用線までの垂直距離です。関節の角度によってモーメントアームが変化するため、同じ重量でも関節への負荷は変わります。

5. 重心(COG)と安定性

重心(Center of Gravity: COG)は、身体の全質量が集中しているとみなせる点です。立位では第2仙椎付近(体重の約55-57%の高さ)に位置します。

安定性を高める要因

  • 支持基底面を広くする
  • 重心を低くする
  • 体重を増やす
  • 重心を支持基底面の中心へ

不安定になる要因

  • 支持基底面が狭い
  • 重心が高い
  • 重心が端に偏る
  • 外力の作用

章のまとめ

  • ベクトル量(力・速度)は大きさと方向の両方を持つ
  • ニュートン3法則はトレーニング動作の力学的解析の基盤
  • GRFは歩行で体重の1.2倍、走行で約3倍に増大
  • トルク = 力 × モーメントアーム(関節角度で変化)
  • 重心を低く・支持基底面を広くすると安定性が増す

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