運動療法

運動療法を支える基本原則

運動療法は、ただ身体を動かすのではなく、いくつかの原則に基づいて負荷を設計することで効果を引き出します。これらの原則を理解すると、対象者に合わせた安全で合理的なプログラムが組めます。

レベル 入門〜実践監修 日原 裕太 NSCA-CPT

過負荷の原則

身体機能を高めるには、日常で経験する以上の刺激を与える必要があります。これを過負荷の原則と呼びます。ただしリハビリ領域では、現在の機能を超えすぎない範囲で慎重に負荷を設定することが安全につながります。

強度・回数・頻度などを少しずつ調整しながら、適切な負荷の幅を探ることが基本です。

特異性の原則

トレーニングの効果は、行った運動に関連した能力に現れやすいという原則です。歩行を改善したいなら歩行に近い動作を、立ち上がりを良くしたいなら立ち上がりに近い課題を取り入れると効果的です。

目標とする生活動作を意識して種目を選ぶと、機能改善が活動の改善につながりやすくなります。

可逆性の原則

運動で得た機能は、運動をやめると徐々に元に戻ります。これを可逆性の原則と呼びます。リハビリで回復した能力も、生活期に運動を続けなければ低下しうるため、習慣化の支援が重要になります。

個別性と漸進性

同じ年齢でも体力や疾患、目標は人それぞれ異なります。個別性の原則に従い、一人ひとりの状態に合わせて調整します。また負荷は一気に上げず、漸進的に増やすことで安全性が保てます。

  • 対象者の体力・疾患・目標に合わせて種目と負荷を決める
  • 負荷は小さな単位で段階的に増やす
  • 反応を確認しながら次の段階に進むか判断する

原則を現場で活かす

これらの原則は互いに補い合います。特異性を意識して種目を選び、過負荷と漸進性で負荷を調整し、可逆性を踏まえて継続を支えるという流れが基本の組み立てになります。

疾患や痛みがある場合は、運動の可否や禁忌が医療判断に関わるため、医療職と連携した上で原則を適用することが前提です。

医療免責

本記事は教育目的の学習コンテンツです。診断・治療行為を代替するものではありません。痛み・しびれ・急性外傷・発熱・進行性の症状や、医師から運動制限を受けている場合は、自己判断で進めず医師・国家資格者にご相談ください。

よくある質問

過負荷とやりすぎの違いはどう見分けますか。

適度な過負荷は翌日に過度な疲労や痛みを残しません。痛みの増悪、強い倦怠感、回復の遅れがあれば負荷が過剰なサインです。反応を確認しながら調整し、不安があれば医療職に相談します。

特異性の原則を無視するとどうなりますか。

目標とかけ離れた運動ばかりでは、改善したい生活動作に効果が結びつきにくくなります。たとえば筋力だけ鍛えても歩行練習をしなければ歩行の改善は限定的になりがちです。

どのくらいで効果が戻ってしまいますか。

可逆性の進み方は個人差が大きく一概には言えませんが、運動をやめると徐々に機能は低下します。維持には運動を生活習慣として続けることが重要です。

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