第6章:栄養学 (3/3)

第6章:栄養学

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Q71HMB(β-ヒドロキシ-β-メチル酪酸)の主な作用として正しいものはどれか。

A. ATP-PC系の直接的なエネルギー供給
B. 筋タンパク質分解の抑制(抗異化作用)と、トレーニング未経験者や高強度トレーニング時の筋保護効果
C. グリコーゲン貯蔵量の増加
D. テストステロンの直接的な合成促進
正答: B
HMBはロイシンの代謝物で、主にユビキチン-プロテアソーム経路(筋タンパク質分解系)を阻害することで筋タンパク質分解を抑制する。トレーニング初心者や高強度・高ボリュームのトレーニング開始時に効果が顕著とされるが、トレーニング経験者への追加効果は限定的とのエビデンスが多い。カロリー制限下での筋量維持にも効果が認められている。
Q72硝酸塩(ナイトレイト)サプリメントが運動パフォーマンスに与える効果の機序として正しいものはどれか。

A. 筋タンパク質合成を直接促進する
B. 体内で亜硝酸塩→一酸化窒素(NO)に変換され、血管拡張・筋への酸素供給改善・ミトコンドリア効率向上をもたらす
C. クレアチンリン酸の再合成を促進する
D. 脂肪酸化を抑制してグルコース利用を促進する
正答: B
食事性硝酸塩(ビートルートジュース、ほうれん草等に豊富)は口腔内細菌・消化管での還元を経て体内で亜硝酸塩・一酸化窒素(NO)に変換される。NOは血管内皮に作用して血管拡張を引き起こし、骨格筋への酸素供給と栄養供給を改善するとともに、ミトコンドリアの酸素効率を向上させる。5〜6mmolの硝酸塩(約300〜600mLのビートルートジュース)を運動2〜3時間前に摂取することで効果が得られる。
Q73NSCAがサプリメントを評価する際の基準として最も適切な記述はどれか。

A. 価格が安くて普及しているサプリメントを優先する
B. 安全性、有効性、合法性(禁止物質の混入リスク含む)の観点から評価する
C. 有名アスリートが使用しているかどうかを最重視する
D. 製造会社の規模とブランド力で評価する
正答: B
NSCAをはじめとするスポーツ栄養の専門機関はサプリメントを安全性(副作用・長期使用リスク)、有効性(科学的エビデンスのレベル)、合法性(WADA禁止物質への汚染リスク・競技規則への適合)の三要素で評価する。NSF for Sport やInformed Sportなどの第三者認証を取得した製品を選択することが、アスリートにとっての安全な選択基準となる。
Q74体重減少のための1日あたりの適切なカロリー制限幅として推奨されるものはどれか。

A. 1000〜1500kcal/日の大幅制限(急速減量)
B. 500kcal/日程度の制限(週約0.5kgの体重減少に相当)
C. 2500kcal/日の制限(超低カロリー食)
D. カロリーを全く気にせず、炭水化物のみをゼロにする
正答: B
緩やかな体重減少(週0.5〜1.0kg)のためには1日500〜1000kcalの制限が一般的に推奨される。脂肪1kgは約7000kcalに相当するため、500kcal/日の制限で週約0.5kgの体重減少が理論上見込まれる。過度なカロリー制限は除脂肪体重の減少、基礎代謝の低下、栄養欠乏、ホルモン異常などのリスクが高まる。
Q75除脂肪体重(筋量)を維持しながら減量するための推奨戦略として正しいものはどれか。

A. 有酸素運動のみを週7日実施し、食事はカロリーゼロにする
B. タンパク質摂取量を高く維持(1.6〜2.4g/kg/日)しながらレジスタンストレーニングを継続し、適度なカロリー制限(週0.5〜1.0%の体重減少ペース)を行う
C. 筋量維持には食事は関係なく、運動量のみが重要である
D. 炭水化物と脂質をゼロにしてタンパク質のみを食べる
正答: B
除脂肪体重を維持しながら減量するための鍵は、高タンパク質食(1.6〜2.4g/kg/日)でMPSを維持し、レジスタンストレーニングによる筋への機械的刺激を継続し、緩やかなカロリー制限(週0.5〜1.0%の体重減少)を行うことである。急激なカロリー制限はコルチゾール上昇とテストステロン低下を招き、筋量減少を促進する。
Q76バルクアップ(筋肥大)を目的とした余剰カロリーの目安として適切なものはどれか。

A. 500kcal以上のカロリー余剰(バルクアップには大量の余剰が必要)
B. 体脂肪増加を最小限に抑えるためのリーンバルク:1日200〜500kcalの緩やかな余剰
C. 余剰カロリーは全く必要なく、エネルギーバランスが均衡していれば十分
D. 筋肥大には1000kcal以上の余剰が最低限必要
正答: B
筋肥大には適度な正のエネルギーバランス(余剰カロリー)が必要だが、過剰な余剰は脂肪増加に直結する。リーンバルクでは1日200〜500kcal(週に体重の0.25〜0.5%増加)の緩やかな余剰が推奨される。十分なタンパク質摂取(1.6〜2.2g/kg/日)と筋力トレーニングを組み合わせることで、体脂肪増加を最小限にしながら筋肥大を追求できる。
Q77リコンポジション(同時筋肥大・減脂)が最も起こりやすい条件はどれか。

A. 長年のトレーニング経験を持つエリートアスリート
B. トレーニング初心者・体脂肪率が高い者・トレーニング再開者(デトレーニングからの復帰)
C. ステロイドを使用していない者すべてに均等に起こる
D. 週1回のトレーニングと極端なカロリー制限を組み合わせた場合
正答: B
リコンポジション(筋量増加と体脂肪減少の同時達成)はトレーニング初心者、体脂肪率が比較的高い者、長期のデトレーニング後に復帰した者で最も起こりやすい。これらの条件では、体脂肪をエネルギー源として利用しながら筋タンパク質合成が促進される。トレーニング経験豊富で体脂肪率が低いアスリートではリコンポジションは困難で、増量期・減量期の分離が一般的。
Q78パーソナルトレーナーが提供できる栄養情報の範囲として適切なものはどれか。

A. 腎臓病患者のリン・カリウム制限食の具体的な献立作成
B. 米国農務省(USDA)のMyPlateや食事バランスガイドなど政府の栄養ガイドラインを用いた一般的な食事教育
C. 特定の疾患(糖尿病、高血圧)に対する薬と食事の相互作用の評価
D. 食物アレルギーの診断と個別の除去食プログラムの提供
正答: B
パーソナルトレーナーのScope of Practiceにおける栄養指導は、一般的な健康増進・スポーツパフォーマンスのための食事教育・情報提供に限定される。政府のガイドライン(MyPlate、食事摂取基準等)の説明、水分補給の原則、マクロ栄養素の基礎知識の提供は適切である。疾患管理、医療的食事指導、個別の治療食計画は管理栄養士・医師の業務範囲となる。
Q79食事計画作成における管理栄養士(RD/RDN)の業務とパーソナルトレーナーの業務の境界として最も適切な記述はどれか。

A. パーソナルトレーナーは食事計画を自由に作成してよい
B. 管理栄養士は特定の疾患に対応した個別の食事計画(治療食)の作成が許可されているが、パーソナルトレーナーはこれを行ってはならない
C. パーソナルトレーナーと管理栄養士の業務に境界は存在しない
D. 日本では誰でも治療食の食事計画を作成できる
正答: B
管理栄養士(日本)またはRD/RDN(米国)は疾患を持つクライアントへの個別的な医療栄養療法(MNT)・治療食計画の作成が専門的業務として認められている。パーソナルトレーナーが行える栄養支援は「一般的な健康のための食事情報の提供」にとどまり、診断・治療に関わる個別食事計画の作成は医療専門資格を持つ者に委ねる必要がある。クライアントに栄養の問題が疑われる場合は適切な専門家へ紹介することが倫理的義務となる。
Q80多糖類(ポリサッカライド)として正しいものはどれか。

A. グルコース(単糖)
B. マルトース(二糖)
C. グリコーゲンとデンプン
D. フルクトース(単糖)
正答: C
多糖類はグルコースなどの単糖が多数(通常10個以上)結合した炭水化物で、グリコーゲン(動物の貯蔵多糖)、デンプン(植物の貯蔵多糖)、セルロース(植物の構造多糖)などが該当する。グルコース・フルクトースは単糖、マルトース・スクロース・ラクトースは二糖に分類される。多糖類は分解に時間がかかるため、エネルギー供給は緩やかになる。
Q81ロイシン閾値(ロイシン閾)に関する記述で正しいものはどれか。

A. ロイシンは筋タンパク質合成とは無関係である
B. 1回の食事・補食でMPSを最大限に刺激するために必要なロイシン量は約2〜3gとされ、これを「ロイシン閾値」と呼ぶ
C. ロイシン閾値は体重・年齢に関わらず全員同一である
D. ロイシンを5g以上摂取するとMPSが急激に低下する
正答: B
mTORC1を介したMPS活性化には最低限のロイシン摂取(閾値)が必要とされ、多くの研究で約2〜3gが示されている。ホエイプロテイン25〜30gにはこの閾値を超えるロイシン(約2.5〜3g)が含まれる。高齢者ではMPSへの感受性が低下するため、閾値がより高くなる可能性がある(筋タンパク質合成の「抵抗性」)。
Q82タンパク質の分配戦略(protein distribution)として最も効果的とされる食べ方はどれか。

A. 1日の総タンパク質を朝食のみに集中して摂取する
B. 1日の総タンパク質量を3〜4回の食事・補食に均等分配し、各回20〜40gを目安に摂取する
C. タンパク質は夜だけにまとめて摂取する
D. 1回の摂取量が多いほど筋タンパク質合成は高まるため、2回の大量摂取が最善
正答: B
「タンパク質分配」の概念では、1日の総タンパク質を1〜2回に集中させるより、3〜4回に均等分配することでMPSが1日を通じて繰り返し刺激されて合計のMPSが高まるとされる。1回の最適量は20〜40g(高齢者や全身トレーニング後は40g程度が有効)。朝食・昼食・夕食・就寝前の4回に分散させる戦略が実践的である。
Q83脂質のエネルギー密度と代謝に関する記述で正しいものはどれか。

A. 脂質は炭水化物よりエネルギー密度が低い
B. 脂質は9kcal/gであり、炭水化物・タンパク質(4kcal/g)の約2倍以上のエネルギー密度を持つ
C. 脂質は代謝(β酸化)にATPを一切使用しない
D. 脂質の燃焼には酸素は不要である
正答: B
脂質は9kcal/gのエネルギー密度を持ち、炭水化物・タンパク質(各4kcal/g)の約2.25倍に当たる。高エネルギー密度ゆえに少量で大きなカロリー摂取となり、食べ過ぎに注意が必要。β酸化は脂肪酸をアセチルCoAに変換してクエン酸回路に供給するプロセスで、酸素を必要とする有酸素的代謝である。安静時・低強度運動時に主なエネルギー源となる。
Q84水溶性ビタミンCの主な機能として正しいものはどれか。

A. カルシウム吸収の促進と骨代謝の調節
B. コラーゲン合成への関与、抗酸化作用、非ヘム鉄の吸収促進、免疫機能の維持
C. 血液凝固因子の活性化
D. エネルギー代謝の補酵素としてのみ機能する
正答: B
ビタミンCは水溶性の抗酸化ビタミンで、コラーゲン合成(プロリンのヒドロキシル化)に不可欠であり欠乏でくる病・壊血病になる。強力な抗酸化物質として活性酸素を消去し、ビタミンEの再生にも関与する。非ヘム鉄の三価→二価鉄への還元を促進して吸収率を高める。免疫細胞(好中球・リンパ球等)に高濃度で存在し免疫機能の維持にも重要。
Q85骨密度向上に関係するビタミンとミネラルの組み合わせとして最も適切なものはどれか。

A. ビタミンCとナトリウム
B. ビタミンD、カルシウム、ビタミンK
C. ビタミンB12と鉄
D. ビタミンAとカリウム
正答: B
骨密度向上に関わる主要な栄養素はカルシウム(骨基質の構成成分)、ビタミンD(カルシウム吸収促進・骨石灰化支援)、ビタミンK(オステオカルシンの活性化・骨基質タンパク質のγカルボキシル化)である。ビタミンK2(メナキノン)が特に骨代謝に重要とされる。マグネシウムとリンも骨の健康に関与するが、上記3つが骨密度との関連で最も重要視される。
Q86運動前後の糖質とタンパク質の組み合わせ摂取が単独摂取より優れているとされる主な理由はどれか。

A. 糖質がタンパク質の消化を阻害するため、筋へのアミノ酸供給が遅れ持続する
B. 糖質摂取によるインスリン分泌がアミノ酸の筋への取り込みを促進し、グリコーゲン再合成と筋タンパク質合成が同時に促進される
C. 糖質のみがMPSを刺激する作用を持つ
D. 組み合わせ摂取は消化器系への負担が大きいため推奨されない
正答: B
糖質摂取はインスリン分泌を促進し、インスリンは骨格筋のアミノ酸取り込みを増加させる(筋タンパク質分解の抑制・合成促進)。また、インスリンはグルコーストランスポーター(GLUT4)の細胞膜への移行を促進してグリコーゲン合成を加速する。運動後に炭水化物(1.0〜1.5g/kg)+タンパク質(0.3〜0.5g/kg)の組み合わせ摂取が最も効果的な回復戦略とされる。
Q87カリウムの主な生理的役割として正しいものはどれか。

A. 骨の主要な構成成分である
B. 細胞内液の主要陽イオンとして細胞内外の浸透圧・電気的勾配の維持、神経・筋の活動電位の形成に関与する
C. 血液の酸素運搬に関与する
D. コラーゲン合成の補酵素として機能する
正答: B
カリウムは細胞内液の主要陽イオン(細胞内98%)で、ナトリウムとの拮抗作用により細胞内外の浸透圧バランスとNa⁺/K⁺-ATPaseポンプを介した膜電位を維持する。神経・筋の活動電位形成に不可欠で、不足すると筋力低下・不整脈・倦怠感が生じる。発汗時にも失われるため長時間運動後の補給が重要。カリウムの主な食品源はバナナ、ジャガイモ、豆類、野菜類。
Q88ビタミンKの主な機能として正しいものはどれか。

A. 抗酸化作用のみ
B. 血液凝固因子(プロトロンビン等)の活性化とオステオカルシン(骨タンパク質)の活性化に関与する
C. エネルギー代謝の補酵素として機能する
D. カルシウム吸収を阻害する
正答: B
ビタミンKはγ-カルボキシル化反応の補酵素として機能し、凝固因子(プロトロンビン、ファクターVII・IX・X)の活性化に必須(欠乏で出血傾向)。また骨タンパク質のオステオカルシンをγカルボキシル化して活性化し骨石灰化を促進する。ビタミンK1(フィロキノン)は葉野菜に、ビタミンK2(メナキノン)は納豆・発酵食品・動物性食品に多く含まれる。
Q89グリセミック負荷(GL:Glycemic Load)とグリセミック指数(GI)の違いとして正しいものはどれか。

A. GLとGIは全く同じ指標を表している
B. GIは食品の質(血糖上昇速度)のみを示すのに対し、GLはGI×摂取炭水化物量/100で算出され、実際に摂取した量による血糖影響を反映する
C. GLはGIより常に数値が高くなる
D. GLは運動強度を考慮した指標である
正答: B
GIは標準50gの炭水化物を摂取した場合の血糖上昇速度を示す相対値で、食品の「質」を反映する。GLはGI×摂取量(g)÷100で算出され、実際の摂取量による血糖への「負荷」を反映する。例えばスイカはGI値が高い(72)が、1回の標準的な摂取量での炭水化物量が少ないためGLは低い(4程度)。日常の食生活での血糖管理にはGLがより実用的とされる。
Q90NSCAのサプリメント分類において、「強いエビデンスがあり、安全性も確認されている」カテゴリーに属するサプリメントとして正しい組み合わせはどれか。

A. テストステロンブースター、成長ホルモン分泌促進剤、エフェドリン
B. クレアチンモノハイドレートとカフェイン
C. アルファリポ酸と亜鉛サプリメント(一般的な量での使用)
D. HMBとグルタミン(全てのアスリートに対して)
正答: B
クレアチンモノハイドレートとカフェインは、スポーツパフォーマンス向上サプリメントの中で最も多くの高品質な研究に裏付けられ、安全性も適切な用量では確認されているカテゴリーに分類される。クレアチンは高強度・短時間の反復運動に、カフェインは持久的・高強度運動の両方に有効。テストステロンブースター・エフェドリンは安全性・合法性に問題があり、HMBはエビデンスが限定的(特に経験者)、グルタミンは一般的なアスリートへの筋力・回復効果のエビデンスが弱い。

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