有酸素トレーニング科学 Ch.1
Cardio Training Science 心肺適応・運動強度設定・VO2max向上【強度設定基準・段階化プロトコル】
1. 運動強度の定量化と心拍数計算
1.1 Karvonen 法による目標心拍数計算
最大心拍数 = 220 – 年齢。これをベースに強度を設定。
| 強度 | HRmax % | 主な効果 | 推奨時間 | 例:45才の場合 |
|---|---|---|---|---|
| 軽度(低強度安定) | 50-60% | 脂肪酸化・回復 | 30-60分 | 88-105 bpm |
| 中程度(有酸素閾値) | 60-70% | VO2max向上 | 20-40分 | 105-123 bpm |
| 高強度(アナエロビック) | 80-90% | 無酸素能力 | 5-10分 | 140-158 bpm |
| 最大強度(VO2max) | 90-100% | 最高酸素摂取能 | 3-5分 | 158-175 bpm |
1.2 VO2max 向上の段階化プロトコル(12週間)
| Week | 目標 | 運動内容 | 頻度 | VO2max 向上 |
|---|---|---|---|---|
| 1-4 | 基礎体力 | 中程度有酸素 30分、週3-4回 | 週3-4回 | +5-10% |
| 5-8 | LT(乳酸閾値)向上 | インターバル:3分@70% × 5set | 週2回 | +10-15% |
| 9-12 | VO2max 最大化 | VO2max インターバル:4min@90% × 4set | 週1-2回 | +8-12% |
マラソン練習者の VO2max 向上戦略
初期値: VO2max 45 ml/kg/min(男性中等度)
12週間プロトコル:
① 週3回の中程度走(12-16 km/週)
② 週1回のインターバルトレーニング(VO2max)
③ 週1-2回の長距離走(ゆっくり)
12週後: VO2max 50-52 ml/kg/min(+12%向上)
有酸素トレーニング設計の原則
- 1. 基礎体力確保:週3-4回、中程度強度を 4週間継続
- 2. LT向上期:週2回のインターバル、週1-2回のロングラン
- 3. VO2max 最大化:週1-2回の高強度インターバル(月 1回 1RM テスト)
- 4. オーバートレーニング防止:月 1回の完全休息日設定
📝 確認テスト|有酸素トレーニング科学 Ch.1:HIIT・閾値・HRV
全5問・正解はすぐに表示されます
Q1. 「高強度インターバルトレーニング(HIIT)」と「中等度継続有酸素(MICT)」を比較したとき、HIITが有意に優れることが示されている効果はどれか?
不正解。メタアナリシスでは体脂肪減少の差は小さく、カロリー消費量が同等の場合はほぼ同等の効果です。
正解!HIITは短時間(20〜30分)でMICT(45〜60分)と同等以上のVO2max改善が得られます(時間効率性)。また高強度後のEPOCが大きく、代謝亢進が数時間続きます。一方、MICT(LSD)は脂肪酸化の絶対量が高い・筋損傷が少ない・継続しやすい等の優位性があります。
不正解。HIITは有酸素・無酸素両系を強化します。VO2max改善においてはMICTと同等以上の効果があります。
不正解。心疾患患者へのHIITも、医師監督下での適切なプロトコルで実施可能・有効とされています(Rognmo et al.)。
Q2. 有酸素性能力の「閾値(Threshold)」概念において「VT2(換気閾値2)/ LT2(乳酸性閾値2)/ MLSS(最大乳酸定常状態)」が一致する生理的状態はどれか?
不正解。安静時は乳酸性閾値に対応しません。
正解!LT2/VT2/MLSSは「乳酸が定常状態で維持できる最大強度の上限」に対応します。この強度で最大乳酸定常状態(MLSS)が成立し、これより強度が上がると乳酸が積み上がりパフォーマンス持続が困難になります。競技パフォーマンス予測に最も有用な生理的指標の一つです。
不正解。LT2は一般的にHRmaxの80〜90%前後で起こります。
不正解。RQ=1.0は糖質の純燃焼を示しますが、LT2の定義とは直接対応しません。
Q3. 「ゾーントレーニング(Polarized Training / Zone Training)」における「3ゾーンモデル」の分類として正しいものはどれか?
不正解。均等実施ではなく、Seilerの研究では80%低強度+20%高強度の「二極化(Polarized)」が最も持久力向上に優れると示されています。
正解!Polarized Training(Seilerモデル)ではZone2(乳酸性閾値間の「デッドゾーン」)を避け、Zone1(低強度・会話可能)80%とZone3(高強度・HIIT)20%に集中する戦略が、エリートアスリートの実践・科学的研究の両面で支持されています。
不正解。LT2付近での長時間トレーニング(Threshold Training)は効果的ですが、Polarizedモデルとは異なるアプローチです。
不正解。ゾーン分類は血中乳酸(LT1/LT2)・換気閾値(VT1/VT2)・心拍数・RPEを複合的に用います。
Q4. 「心拍数変動(HRV: Heart Rate Variability)」をトレーニング管理に使用する科学的根拠はどれか?
不正解。HRVは自律神経(特に迷走神経)活性の客観的指標として確立されており、回復状態・トレーニング適応の監視に有用です。
正解!HRVは洞結節への迷走神経入力の変動を反映します。RMSSD(連続R-R間隔の2乗平均平方根)が個人ベースラインより有意に低下した日は、回復不足・ストレス増大のサインです。HRV誘導型トレーニング(HRV-guided training)のRCTではVO2max改善が対照群を上回ったデータがあります。
不正解。HRVと最大心拍数は直接対応しません。安静時徐脈のアスリートでもHRVが高い場合がありますが、HRmaxは別の指標です。
不正解。HRVはアルコール摂取・睡眠・食事・ストレス・月経周期など多因子に影響されます。
Q5. 「心拍数(HR)が最大値に達しているにもかかわらず酸素消費量がまだ増大できる」現象を表す概念はどれか?
不正解。OTSは最大心拍数の低下(心拍数の上昇制限)と関連することがあります。
不正解。実際にはVO2maxとHRmaxが必ずしも同時に到達しない場合があります。
正解!HRは最大値(HRmax)に達してもSVがわずかに増大する場合や換気が増大する場合に、VO2はなお上昇できます。VO2maxの真の制限因子は最大心拍出量(HR×SV)と末梢のO2利用能(a-vO2差)の積で決まります。
不正解。HRmaxとVO2maxは高い相関がありますが、必ずしも同時到達ではなく、個人差があります。
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🎯 Chapter 1 / 3
心拍数と強度設定
心拍数と強度設定
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