スポーツ栄養学 Ch.1

スポーツ栄養学 Ch.1

Sports Nutrition アスリートの栄養需要・マクロ栄養素戦略・タイミング栄養【数値基準・メニュー例】

1. アスリート栄養需要の定量化

1.1 アスリートのエネルギー必要量(TDEE)

一般人の TDEE = 体重(kg)× 24-30 kcal/日。アスリートはトレーニング量により 1.5-3倍に増加。

トレーニング強度 競技例 エネルギー倍数 70kg体重時の TDEE
軽度(週3-4時間) アマチュア趣味層 1.3-1.5倍 2,200-2,500 kcal
中等度(週6-10時間) カレッジアスリート 1.7-2.0倍 2,850-3,400 kcal
高度(週15-20時間) プロアスリート 2.0-3.0倍 3,400-5,000 kcal

1.2 マクロ栄養素の推奨配分

タンパク質: 一般人 0.8 g/kg → アスリート 1.6-2.2 g/kg

炭水化物: 高強度競技 6-10 g/kg/日。リカバリーを優先。

脂質: TDEE の 20-35%。ホルモン産生に不可欠。

栄養素 推奨量 摂取タイミング 食事例(70kg)
タンパク質 1.6-2.2 g/kg 毎食 20-40g(4-5回に分散) 鶏胸肉 200g(42g)× 4食
炭水化物 6-10 g/kg トレーニング 1-2時間前、直後 白米 250g × 4食
脂質 TDEE の 20-35% 特に制限なし オリーブオイル大さじ2程度/食
ケース:長距離ランナーの炭水化物ローディング

背景: マラソン大会 3日前。通常トレーニング停止、栄養準備段階。

3日間プロトコル:
① 1日目:炭水化物 3 g/kg(低い)、トレーニング軽度
② 2日目:炭水化物 8 g/kg(高い)、トレーニング中断
③ 3日目(本番前):炭水化物 4 g/kg(軽い消化)、トレーニングなし
④ 本番当日:高い炭水化物 + 低脂肪・低食物繊維

結果: 筋グリコーゲン 1.5-2倍に増加 → マラソンエネルギー不足が 30%改善(研究平均)

スポーツ栄養指導の 5ステップ

  • 1. TDEE を正確に計算:トレーニング時間 × 強度係数
  • 2. タンパク質を 1.6-2.2 g/kg で固定;残りを炭水化物・脂質で配分
  • 3. 競技別タイミング最適化:有酸素系は糖質、無酸素系は BCAAs
  • 4. リカバリー栄養:トレーニング直後 30分以内に炭水化物+タンパク質 1:3
  • 5. 月 1回の栄養評価:体組成・パフォーマンス変化で検証

📝 確認テスト|スポーツ栄養学 Ch.1:エネルギー・補給戦略・サプリ

全5問・正解はすぐに表示されます

Q1. 「エネルギー利用率(EA: Energy Availability)」の計算式として正しいものはどれか?

不正解。EAは除脂肪体重(FFM)を基準にします。

正解!EA = (EI – EEE)/ FFM(kcal/kgFFM/日)。目標値は45 kcal/kgFFM/日以上。30 kcal/kgFFM/日未満が「低エネルギー利用率(LEA)」で女性アスリートの三主徴・REDs(Relative Energy Deficiency in Sport)のトリガーとなります。

不正解。それはTDEE(総エネルギー消費量)の推定式です。

不正解。酸素消費量から計算するのはVO2max・エネルギー消費量の換算式です。

Q2. 長時間持久競技(90分以上)中に最も効果的な糖質補給プロトコルはどれか?

不正案。グルコース単独では腸管のSGLT1輸送体が飽和(約60g/時間)するため、それ以上は吸収されません。

正解!SGLT1(グルコース)とGLUT5(フルクトース)の異なる輸送体を使うことで、グルコース単独の60g/時間の上限を超え、70〜90g/時間の酸化が可能になります(Jeukendrup, 2010)。2:1(Glu:Fru)比が最適で、ハンガーノック予防に有効です。

不正解。脂質はMCT等の限定的状況を除き、高強度運動中の迅速なエネルギー源として不適切です。

不正解。90分以上の競技では運動中の糖質補給が不可欠です(事前摂取のみでは枯渇する)。

Q3. 「プロテインルーミング(Leucine Trigger)」の観点から、筋タンパク質合成(MPS)を最大化するための1食のタンパク質量の目安はどれか?

不正解。5〜10gではロイシン閾値(2〜3g)に届かない場合があり、最大MPSは得られません。

正解!1食あたり20〜40gの高品質タンパク質(ロイシン含有量2〜3g以上)でmTORC1経路が最大活性化されます。高齢者・大筋群使用後は40g程度が有効。3〜4時間おきに均等分配が1日のMPS最大化に最適です(Moore et al.)。

不正解。1食70gは過剰であり、余剰分はエネルギーや尿素として処理されます。最大効果は1食20〜40gです。

不正解。1日全体に均等分配(朝・昼・夕・就寝前)が最適戦略です。

Q4. 「水分補給(Hydration)」において、体重の何%の体液損失でパフォーマンスが有意に低下し始めるか?

不正解。1%未満では通常パフォーマンスへの影響は軽微です。

正解!体重の2%以上の体液損失で有酸素パフォーマンス(VO2max・持久力)が2〜8%低下し始めます。5%以上では熱中症リスクが著しく増大します。高温・多湿・長時間種目で特に注意が必要です。

不正解。10%の脱水は生命の危機であり、パフォーマンスはとうの昔に崩壊しています。

不正解。過剰な水分摂取(特に電解質なし)は低ナトリウム血症(水中毒)のリスクがあります。

Q5. 「サプリメントの4分類(ERGOGENICサプリメント)」においてIOC・AISが「Strong Evidence(強いエビデンス)」ありとするものはどれか?

不正解。HMBのエビデンスは限定的で、上級者への効果は弱いです。

正解!AIS(Australian Institute of Sport)のグループA(強いエビデンス):クレアチン(筋力/スプリント)・カフェイン(持久力/認知)・硝酸塩(持久力)・β-アラニン(高強度持続力)・重炭酸Na(無酸素バッファー)。これらは適切量・タイミングで使用時、パフォーマンス向上効果が科学的に実証されています。

不正解。市販エネルギードリンクはカフェイン以外の成分の効果は不明で、過剰摂取リスクもあります。

不正解。プロテインは高品質タンパク質の補完として有用ですが、エルゴジェニックとしてのAIS評価はGroupBです。
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🎯 Chapter 1 / 3
栄養学の基礎

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