第8章:心理学・コーチング (3/3)

第8章:心理学・コーチング

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Q66前熟考期(Precontemplation)にあるクライアントへの介入として不適切なものはどれか。

A. 運動不足が健康に与えるリスクについて情報を提供する
B. 変化しないことへの感情的な気づきを促す
C. 6週間の詳細なトレーニングプログラムをすぐに開始させる
D. 家族・友人の健康への影響についての意識を高める
正答: C
前熟考期のクライアントは変化する意図がないため、具体的なトレーニングプログラムの強制開始は段階に合っておらず、強い抵抗を招く。この段階では意識喚起(健康リスク情報)、感情的喚起(変化しないことへの感情)、自己再評価(価値観と現在の行動の矛盾への気づき)が適切な介入である。変化の意欲が生まれていない段階での行動強制は逆効果となりやすい。
Q67「パフォーマンスの知識(Knowledge of Performance: KP)」の例として正しいものはどれか。

A. 「今日のスクワットは10回完了しました」
B. 「今月の体重は2kg減少しました」
C. 「膝の位置をもう少し外側に向けてください」
D. 「先週より5kg重いバーベルを挙げられましたよ」
正答: C
パフォーマンスの知識(KP)は動作の質・テクニック・フォームに関する情報であり、どのように動いたかについてのフィードバックである。具体的な動作修正(「膝がつま先より前に出ています」「背中を丸めないように」など)がKPに相当する。a・b・dは動作の結果に関する情報であり、結果の知識(KR)に分類される。
Q68積極的傾聴(Active Listening)において「パラフレーズ(Paraphrase)」を用いる目的として正しいものはどれか。

A. クライアントの話を中断させ自分の意見を述べるため
B. トレーナーがクライアントの話を正しく理解しているか確認し、クライアントに「わかってもらえた」感覚を与えるため
C. クライアントの話を短縮するため
D. 専門用語でクライアントを教育するため
正答: B
パラフレーズとはクライアントが話した内容を自分の言葉で言い換えて返す技法である(「つまり、~ということですね」)。トレーナーが正確に理解しているか確認できるとともに、クライアントに「話をきちんと聞いてもらえた」という感覚を与え信頼関係を強化する。また、クライアント自身も自分の考えを整理する機会となる。
Q69アトリビューション(帰属)理論において、成功を「運が良かった(外的・不安定)」に帰属することの問題点として正しいものはどれか。

A. 自己効力感と将来の動機づけが強化される
B. 成功を自分の能力・努力に帰属しないため、将来の成功への期待が高まりにくい
C. 努力量が増加する
D. 問題のない帰属パターンである
正答: B
成功を「運(外的・不安定・コントロール不可能)」に帰属すると、「次も運が良いとは限らない」と考えるため将来への期待が高まらず、自己効力感の強化につながらない。最も動機づけを高める帰属は「努力(内的・不安定・コントロール可能)」であり、「頑張ったから成功した」と解釈することで次回の努力も促される。トレーナーはクライアントの成功を努力・準備・スキル向上に帰属させる言葉がけが重要。
Q70覚醒水準とパフォーマンスに関するカタストロフィー理論(Catastrophe Theory)の説明として正しいものはどれか。

A. 覚醒水準とパフォーマンスの関係は常に逆U字型である
B. 認知的不安が高い状態では、身体的覚醒が閾値を超えるとパフォーマンスが緩やかに低下するのではなく急激に崩壊する
C. カタストロフィー理論では身体的覚醒の影響しか考慮しない
D. カタストロフィー理論は認知的不安を考慮しない
正答: B
ハーディのカタストロフィー理論では、逆U字仮説と異なり、認知的不安(心配・ネガティブ思考)が高い状態では身体的覚醒が一定のレベルを超えると、パフォーマンスが緩やかに低下するのではなく崖から落ちるように急激・劇的に崩壊する(カタストロフィー)と提唱する。認知的不安と身体的覚醒の両方の相互作用が重要であり、逆U字仮説よりも現実に近いとされる。
Q71呼吸法(腹式呼吸)をリラクゼーション技法として使用する理由として正しいものはどれか。

A. 交感神経系を活性化させ、戦闘・逃走反応を促進する
B. 副交感神経系を活性化させ、心拍数・血圧・筋緊張を低下させる
C. 呼吸法はストレス軽減に効果がない
D. 呼吸法はパフォーマンスを低下させる
正答: B
深くゆっくりとした腹式呼吸(横隔膜呼吸)は副交感神経系(迷走神経)を刺激し、心拍数・血圧・筋緊張の低下、コルチゾール分泌の抑制をもたらす。運動前の緊張・不安の軽減、パフォーマンス向上、日常的なストレス管理に活用できる。吸気より呼気を長くすること(例:4秒吸う・6秒吐く)が副交感神経活性化に効果的である。
Q72維持期(Maintenance)にあるクライアントへの最も重要な介入はどれか。

A. 運動のメリットについて初歩的な情報を提供する
B. 逆戻りを防ぐための高リスク状況の特定と対処計画の策定支援
C. 実行期と同様に動機づけの基礎から行う
D. すべての目標達成を宣言してサポートを終了する
正答: B
維持期(6ヶ月以上継続)は運動習慣が定着しているが、逆戻りのリスクが消えたわけではない。旅行・仕事の繁忙期・病気・気候変動など逆戻りリスクが高い状況(High-Risk Situations)を事前に特定し、それぞれに対する対処計画を準備することが有効。また新しい目標・バリエーション・チャレンジを設定して新鮮さを保つことも継続に有効である。
Q73ポジティブ強化(Positive Reinforcement)とネガティブ強化(Negative Reinforcement)の違いとして正しいものはどれか。

A. ポジティブ強化は行動を増加させ、ネガティブ強化は行動を減少させる
B. ポジティブ強化は好ましい刺激を加えることで行動を増加させ、ネガティブ強化は嫌悪刺激を除去することで行動を増加させる
C. ネガティブ強化は罰と同じ意味である
D. 両者ともに行動の減少を目的とする
正答: B
ポジティブ(正の)強化は望ましい行動の後に好ましい刺激を付加することで行動頻度を増加させる(例:運動後に称賛)。ネガティブ(負の)強化は望ましい行動の後に嫌悪刺激を取り除くことで行動頻度を増加させる(例:目標達成で余分な記録作業が免除される)。両者とも行動を「増加」させる点が共通であり、罰(行動を減少させること)とは異なる。
Q74SMARTゴールにおける「Attainable(達成可能)」の重要性として正しいものはどれか。

A. 達成不可能な高い目標ほど動機づけが高まる
B. 達成可能でない目標は失敗体験となり自己効力感と動機づけを低下させる
C. 達成可能な目標はクライアントを甘やかすことになる
D. 達成可能かどうかは目標設定に関係ない
正答: B
達成可能(Attainable/Achievable)とは、現在の能力・状況から見て現実的に達成できる目標を設定することである。過度に高い目標は失敗体験の蓄積につながり自己効力感を損なう。ロックとラサムの目標設定理論では「困難だが達成可能」な目標が最もパフォーマンスを高めるとされており、難しすぎず易しすぎないバランスが重要である。
Q75参加型リーダーシップスタイル(Participative Leadership)が最も適切な状況はどれか。

A. クライアントが完全な初心者で安全の確保が最優先の場合
B. クライアントが中級レベルで意思決定への参加が動機づけを高める場合
C. クライアントが完全に自律して動ける上級者の場合
D. 緊急の安全介入が必要な場合
正答: B
参加型リーダーシップはクライアントとの意思決定の共有・協働を重視するスタイルであり、クライアントが一定の知識・スキルを持ち、自律性の支援が動機づけにつながる中級レベルに適している。初心者・緊急時は指示型、習熟した自律的クライアントには委任型が適切。自己決定理論の自律性欲求のサポートとも一致し、意思決定への参加がコミットメントを高める。
Q76「意思決定バランス(Decisional Balance)」において、前熟考期から熟考期への移行に伴う変化として正しいものはどれか。

A. 運動のデメリット(pros of not exercising)の認知が増加する
B. 運動のメリット(pros)の認知が増加し、デメリット(cons)の認知が減少し始める
C. 運動に対する認知は変化しない
D. 運動のデメリット(cons)が完全になくなる
正答: B
行動変容ステージが前熟考期から熟考期・準備期・実行期と進むにつれて、運動のメリットの認知(pros)が増加し、デメリットの認知(cons)が減少していくことが研究で示されている。前熟考期ではデメリット>メリットの認知だが、実行期・維持期ではメリット>デメリットとなる。トレーナーはメリットを強調し、デメリットへの対処策を提示することで移行を支援できる。
Q77OARSスキルの「アファメーション(Affirmations)」の目的として正しいものはどれか。

A. クライアントの弱点を指摘して改善を促す
B. クライアントの強み・努力・資源を認め、自己効力感と変化への動機を支援する
C. クライアントに事実情報を提供する
D. クライアントの発言を要約して整理する
正答: B
アファメーション(肯定・認める)は、クライアントの努力・強み・過去の成功・価値観を具体的に言葉で認める技法である(「先週は忙しい中、3回来られましたね」「あなたはとても粘り強い方ですね」など)。クライアントの自己効力感を支持し、自律性・有能感を強化する。批判や評価ではなく、存在や行動を承認することでチェンジトークの促進につながる。
Q78OARSスキルの「サマリー(Summaries)」を用いるタイミングとして最も適切なものはどれか。

A. セッションの冒頭でのみ使用する
B. セッションの節目・転換点・終わりに、話し合った内容・変化の理由・コミットメントをまとめて確認する
C. クライアントが抵抗を示したときに批判のために使う
D. 診断を行うときにのみ使う
正答: B
サマリー(要約)はセッション中に話し合ったことを整理し、重要な点・チェンジトーク・コミットメントをまとめて返すことで、クライアントが変化への動機を俯瞰する機会を作る。セッションの転換点(話題を変える前)やセッションの終わり(次回への橋渡し)でのサマリーが特に有効。「つまり今日話されたことを整理すると~ということでしょうか」という形式が典型的。
Q79グループフィットネスにおける社会的促進(Social Facilitation)を活用する際の注意点として正しいものはどれか。

A. 社会的促進は常にすべてのクライアントのパフォーマンスを向上させる
B. 新しい複雑な動作を習得中のクライアントは他者の観察下でパフォーマンスが低下する場合があるため、プライベートな練習機会を設けることが有効
C. 社会的促進の効果はグループサイズに関係しない
D. 上級者は他者の存在によりパフォーマンスが低下する
正答: B
ザイアンスの社会的促進理論では、他者の存在(観衆・共行為者)が覚醒水準を高め、習得済みの技術(優勢反応が正確)ではパフォーマンスが向上するが、未習得・複雑な課題(優勢反応が不正確)ではパフォーマンスが低下する。新しいエクササイズの導入時は他者が少ない環境で練習の機会を提供し、習得後にグループ環境に移行させる配慮が必要。
Q80パーソナルトレーナーとしてのコミュニケーションにおけるプロフェッショナルな境界線(Professional Boundaries)について正しいものはどれか。

A. クライアントと友人関係になることが最も良いアドヒアランスにつながる
B. 温かく支持的な関係を保ちながら、専門家としての適切な距離感と役割の範囲を明確に維持する
C. クライアントとの感情的な距離を完全に排除し、医療的な診断も行う
D. クライアントの個人的な悩みにはすべて応じることがトレーナーの義務である
正答: B
プロフェッショナルな境界線とは、クライアントとの関係において専門家としての役割・責任・倫理的基準を守りながら、適切な支持的関係を維持することである。過度な個人的関与(二重関係)・感情的巻き込まれ・クライアントへの依存は専門家として不適切である。また、心理的・医療的問題が疑われる場合は適切な専門家(カウンセラー・医師)へのリファーが倫理的義務である。

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