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運動療法 MODULE 02:整形疾患別の運動療法プログラム設計(肩・腰・膝・足)

運動療法 MODULE 01では「治癒過程と組織治癒のフェーズ別アプローチ」を扱いました。MODULE 02では、実際の整形外科領域における代表疾患の運動療法プログラム設計を体系化します。「肩・腰・膝・足」の障害別アプローチを通じ、現場で使える臨床推論を学びます。

1. 肩疾患の運動療法

① 肩関節周囲炎(凍結肩)

炎症期・拘縮期・回復期の3期に分かれ、フェーズに応じた介入が必要。炎症期に強引なROM運動は禁忌。Codman運動(振り子運動)から開始し、回復期にレジスタンスを段階導入。

② 腱板損傷(断裂・部分断裂)

非手術例:肩甲胸郭リズム再獲得+外旋筋強化が中心。手術例:保護期(4〜6週)は他動運動のみ、自動運動移行は8週目以降が目安。

③ インピンジメント症候群

胸椎モビリゼーション+小胸筋ストレッチ+下部僧帽筋・前鋸筋強化+外旋筋活性化が基本フレーム。詳細は別記事「症例ケーススタディ②」を参照。

2. 腰部疾患の運動療法

① 腰椎椎間板ヘルニア

急性期:マッケンジー法(伸展型エクササイズ)で椎間板内圧を後方→前方へシフト誘導。慢性期:体幹安定化+股関節モビリゼーション。重要なのは「方向性嗜好(directional preference)」を見つけること。

② 脊柱管狭窄症

屈曲位で症状軽減(自転車・押し車歩行が楽)が特徴。腰椎屈曲ベースのウィリアムズ体操、有酸素は自転車・水中ウォーキングを優先。歩行は段階的距離延長。

③ 慢性非特異的腰痛

McGill Big 3+股関節モビリゼーション+認知行動療法的要素(痛み神経科学教育)の併用が現代のスタンダード。

3. 膝疾患の運動療法

① 変形性膝関節症(KOA)

OARSI 2019:運動療法+体重管理が第一選択。大腿四頭筋筋力強化、股関節周囲筋強化、有酸素(自転車・水中)の組み合わせ。詳細は症例ケーススタディ③参照。

② 膝蓋大腿関節症候群(PFPS / ランナー膝)

近年のシステマティックレビュー(Lack et al., 2015)では、股関節(特に外転筋・外旋筋)強化が膝の局所運動より効果的。VMO(内側広筋斜頭)単独訓練の優位性は否定的に。

③ ACL再建後・半月板術後

クライテリアベース・リハビリが原則。時間ベース(術後○週)とテストベース(LSI/Hop test)の併用で進める。詳細は症例ケーススタディ①参照。

4. 足関節・足部疾患

① 足関節捻挫(外側靭帯損傷)

急性期:POLICE原則(Protection・Optimal Loading・Ice・Compression・Elevation)。亜急性期:固有受容感覚再獲得(バランスボード)。慢性期:腓骨筋強化+ジャンプ・カット動作の段階的導入。

② アキレス腱症

Alfredsonプロトコル(エキセントリックヒールドロップ:3セット×15回×1日2回)が標準。最近はheavy slow resistance(HSR)も効果同等と報告。

③ 足底筋膜炎

足底筋膜・アキレス腱ストレッチ+短趾屈筋・後脛骨筋強化+荷重制限(テーピング・インソール)。Rathleff 2014では「high-load strength training」が標準ストレッチより優位の報告。

5. プログラム設計の共通原則

  1. 急性期:炎症コントロール、可動域維持、無痛域でのアクティブ運動
  2. 亜急性期:可動域回復、基本筋力再獲得、固有受容感覚
  3. 機能回復期:筋持久力・筋力増強、機能的動作再学習
  4. 競技/ADL復帰期:プライオメトリクス、競技/職業特異的動作、心理的準備

まとめ

運動療法はアートではなくサイエンスです。ガイドライン・最新エビデンス・運動連鎖の理解を組み合わせ、個別化されたプログラムを構築する力——これがプロの差別化要因です。MODULE 03では「特殊集団(高齢者・小児・妊婦)への応用」を扱います。

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