第5章:解剖学・運動生理学の基礎 (3/8)

第5章:解剖学・運動生理学の基礎

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Q191最大酸素摂取量(VO2max)の定義として正しいのはどれか。

A. 1回の呼吸で摂取できる酸素の最大量
B. 単位時間(1分間)あたりに体が摂取・利用できる酸素の最大量
C. 運動中に蓄積できる乳酸の最大量
D. 心臓が1分間に拍出できる最大血液量
正答: B
VO2maxは有酸素能力の黄金基準であり、1分間に体が摂取・利用できる酸素の最大量(mL/kg/分またはL/分)で表される。VO2max = 最大心拍出量 × 最大a-vO2差(Fick方程式)で決まり、心肺機能と骨格筋の酸化能力が統合された指標である。一般成人男性の平均は35〜45 mL/kg/分、エリート持久アスリートは80 mL/kg/分以上に達することもある。
Q192Fick方程式(VO2 = Q × a-vO2差)において、「a-vO2差」が表す意味として正しいのはどれか。

A. 安静時と最大運動時の心拍数の差
B. 動脈血と静脈血の酸素含有量の差で、筋肉での酸素利用効率を示す
C. 吸気と呼気の二酸化炭素濃度の差
D. 収縮期血圧と拡張期血圧の差(脈圧)
正答: B
a-vO2差(動静脈酸素較差)は動脈血と混合静脈血の酸素含有量の差であり、組織(主に筋肉)が毛細血管から取り込んだ酸素量を示す。安静時は約4〜5 mL O2/dLであるが、最大運動時には14〜16 mL O2/dLまで増大する。トレーニングによりミトコンドリア密度・毛細血管密度が増加すると最大a-vO2差が広がり、VO2max向上に貢献する。
Q193高齢者の転倒リスク増加に関連する生理学的変化として最も直接的なのはどれか。

A. 視力低下のみが転倒の原因となる
B. 下肢筋力低下・バランス能力低下・反応時間延長の複合的な変化
C. 心拍数の増加により血圧が不安定になるため
D. 体脂肪率の増加のみが転倒の原因
正答: B
高齢者の転倒は複数の生理学的変化の複合的な結果である。特に下肢筋力(特に大腿四頭筋・腓腹筋)の低下、固有感覚(プロプリオセプション)の減退、前庭機能・視力の低下、および神経伝達速度の遅延(反応時間延長)が相互に作用する。レジスタンストレーニングとバランストレーニングの組み合わせが転倒予防に最も効果的とされる。
Q194骨格筋の横断面積(断面積)と筋力の関係について正しいのはどれか。

A. 筋断面積と筋力に相関はない
B. 筋断面積が大きいほど発揮できる最大筋力が大きく、生理学的断面積(PCSA)が筋力のより正確な指標となる
C. 筋力は筋断面積ではなく神経活性化のみで決まる
D. 長い筋線維を持つ筋ほど最大筋力が大きい
正答: B
筋力は生理学的横断面積(Physiological Cross-Sectional Area, PCSA)に比例する。PCSAは羽状筋(pennate muscle)では解剖学的断面積より大きく、同じ体積でより多くの筋線維を持つことが可能である。なお収縮速度は筋線維の長さに関係し、長い筋は速い収縮速度を持つが最大筋力はPCSAに依存する。
Q195運動単位(Motor Unit)の「サイズの原則(Size Principle)」として正しいのはどれか。

A. 最初から大きな(速筋)運動単位が優先的に動員される
B. 運動強度が増すにつれ、小さな(遅筋)運動単位から大きな(速筋)運動単位へと順に動員される(Henneman’s Size Principle)
C. 最大筋力発揮時には遅筋運動単位のみが使用される
D. 運動単位の動員順序は運動の種類によってのみ決まる
正答: B
Henneman(1965)のサイズの原則によると、運動強度の増加に伴い小さい運動単位(遅筋・TypeⅠ線維)から大きい運動単位(速筋・TypeⅡ線維)へと段階的に動員される。遅筋運動単位はモトニューロンが小さく興奮しやすい一方、速筋運動単位はモトニューロンが大きく高強度刺激を必要とする。この原則によりエネルギー効率的な筋力調節が実現される。
Q196筋の伸張反射(筋紡錘による)と腱器官反射(ゴルジ腱器官による)の違いとして正しいのはどれか。

A. 筋紡錘は伸張を感知して主動筋を弛緩させ、ゴルジ腱器官は張力を感知して主動筋を収縮させる
B. 筋紡錘は急激な伸張を感知して主動筋を反射的に収縮させ、ゴルジ腱器官は過大な張力を感知して主動筋を弛緩させる(自原抑制)
C. 両者とも同一の反射を引き起こし、主動筋を弛緩させる
D. ゴルジ腱器官は伸張のみを感知し、筋紡錘は圧力を感知する
正答: B
筋紡錘(筋内紡錘形感覚器)は筋の長さ変化(伸張)を感知し、急激な伸張に対して主動筋を反射収縮させる(伸張反射・膝蓋腱反射の機序)。一方、ゴルジ腱器官(GTO)は筋腱接合部に位置し、過大な張力を感知すると主動筋を弛緩させて過負荷による損傷を防ぐ(自原抑制)。静的ストレッチの延長により腱器官反射が作動し、筋が弛緩するメカニズムはこれによる。
Q197心拍出量(CO)を規定する2つの主要因子として正しいのはどれか。

A. 血圧と血液粘度
B. 1回拍出量(SV)と心拍数(HR)(CO = SV × HR)
C. 収縮期血圧と拡張期血圧
D. 動脈血酸素含量と静脈血酸素含量
正答: B
心拍出量(CO)= 1回拍出量(SV)× 心拍数(HR)で計算される。安静時の成人ではSV約70mL × HR約70拍/分 = CO約4.9 L/分となる。最大運動時にはトレーニングした持久系アスリートでCO 35〜40 L/分に達することもある。1回拍出量はフランク-スターリング機構(前負荷)・心筋収縮力・後負荷に規定される。
Q198スポーツ貧血(希釈性貧血)の機序として正しいのはどれか。

A. 赤血球が破壊されてヘモグロビン濃度が低下する
B. トレーニングにより血漿量が増加し、赤血球数は増加するが相対的なヘモグロビン濃度が低下する
C. 鉄欠乏により赤血球産生が低下する
D. 過剰な発汗によりナトリウムが失われ、赤血球が萎縮する
正答: B
持久系トレーニングの慢性適応として血漿量が増加(10〜20%)するため、赤血球数は絶対的には増加しているにもかかわらず、相対的なヘモグロビン濃度・ヘマトクリットが低下することがある。これをスポーツ貧血(希釈性貧血)といい、病理的な鉄欠乏性貧血とは区別される。血漿量増加は血液粘度低下・心臓前負荷増大・体温調節改善につながる有益な適応である。
Q199運動中に交感神経系が活性化された際の生理的反応として正しい組み合わせはどれか。

A. 心拍数低下・気管支収縮・消化管蠕動亢進
B. 心拍数増加・気管支拡張・骨格筋血管拡張・消化管血流低下
C. 心拍数増加・気管支収縮・全末梢血管拡張
D. 心拍数低下・気管支拡張・皮膚血流増加
正答: B
交感神経系の活性化(Fight or Flight反応)では:心拍数・心収縮力の増加、気管支拡張(β2受容体)、骨格筋への血流増加、消化管・腎臓への血流低下(α受容体による収縮)、副腎髄質からのアドレナリン・ノルアドレナリン分泌が生じる。これらは運動に必要なエネルギー供給と活動筋への酸素・栄養素送達を最大化する統合的反応である。
Q200骨格筋の筋線維タイプ(TypeⅠ・TypeⅡa・TypeⅡx)の特徴の比較として正しいのはどれか。

A. TypeⅠは収縮速度が最も速く、疲労しやすい
B. TypeⅡxは収縮速度が最も速いが最も疲労しやすく、TypeⅠは収縮速度が遅いが最も疲労に強い
C. TypeⅡaとTypeⅡxは同一の特性を持ち、区別できない
D. すべての筋線維タイプは同じ収縮速度を持つが、サイズのみ異なる
正答: B
筋線維タイプの比較:TypeⅠ(遅筋)は収縮速度が遅いが、ミトコンドリア密度・毛細血管密度が高く疲労耐性が最も高い。TypeⅡa(速筋・酸化解糖型)は中間的特性を持つ。TypeⅡx(速筋・解糖型、旧TypeⅡb)は収縮速度が最も速くパワー発揮に優れるが、無酸素的代謝に依存するため最も疲労しやすい。トレーニングによりTypeⅡxからTypeⅡaへの転換が生じることが知られている。
Q51長骨の説明として正しいものはどれか。

A. 手根骨や足根骨が代表例で、幅と長さがほぼ等しい
B. 骨幹(骨体)と骨端を持ち、大腿骨や上腕骨が代表例
C. 肩甲骨や胸骨が代表例で、板状の形態をもつ
D. 椎骨や骨盤のように複雑な形状をもつ
正答: B
長骨は骨幹(diaphysis)と両端の骨端(epiphysis)をもち、大腿骨・上腕骨・橈骨・尺骨・脛骨・腓骨・指骨などが代表例である。aは短骨、cは扁平骨、dは不規則骨の説明である。長骨の骨幹は主に緻密骨で構成され、中央には骨髄腔がある。
Q52種子骨(sesamoid bone)の代表例として正しいものはどれか。

A. 舟状骨
B. 膝蓋骨
C. 踵骨
D. 距骨
正答: B
種子骨は腱の中に形成される骨で、腱が関節部を通過する際の摩擦を軽減し、腱の動きを効率化する。膝蓋骨(patella)が最大かつ最もよく知られた種子骨である。母趾の種子骨(足底の種子骨)も代表例である。舟状骨・踵骨・距骨は足根骨(短骨)に分類される。
Q53扁平骨の主な機能として正しいものはどれか。

A. てこの役割を果たし、運動の効率を高める
B. 内臓を保護し、造血機能を持つ
C. 体重を支持し、衝撃を吸収する
D. 関節の可動域を制限する
正答: B
扁平骨(肩甲骨・胸骨・肋骨・頭蓋骨など)は広い面積を持ち、重要な臓器(脳・心臓・肺など)を保護する。また、内部の赤色骨髄で赤血球・白血球・血小板が産生される造血機能を担う。長骨はてこの役割(a)、短骨・軟骨は衝撃吸収(c)の役割を持つ。
Q54骨密度を高める効果が最も低い運動はどれか。

A. ジャンプ動作を含むプライオメトリクス
B. バーベルを使ったスクワット
C. 水泳
D. ランニング
正答: C
骨密度の向上には骨に対するメカニカルストレス(圧縮力・衝撃力)が必要である。水泳は浮力により体重が支持されるため、骨への荷重が少なく骨密度向上効果は限定的である。ウォルフの法則に基づき、荷重運動(ランニング・スクワット)や衝撃運動(ジャンプ)が骨形成を最も効果的に刺激する。
Q55滑液包(bursa)の機能として正しいものはどれか。

A. 骨と骨をつなぎ、関節を安定させる
B. 筋と骨をつなぎ、力を伝達する
C. 骨・腱・筋が摩擦する部位でクッション役を果たす
D. 関節の動きをコントロールし、感覚情報を伝達する
正答: C
滑液包は滑液を含む袋状の構造で、骨・腱・筋・皮膚が互いに摩擦する部位(肩峰下・膝蓋前部・肘頭部など)に存在し、摩擦を軽減するクッションとして機能する。aは靭帯、bは腱の機能である。滑液包炎(バーサイティス)はこの構造の炎症を指す。
Q56腱(tendon)と靭帯(ligament)の違いとして正しいものはどれか。

A. 腱は骨と骨をつなぎ、靭帯は筋と骨をつなぐ
B. 腱は筋と骨をつなぎ、靭帯は骨と骨をつなぐ
C. 腱は関節を安定させ、靭帯は力を伝達する
D. 腱と靭帯はどちらも同じ機能を持つ
正答: B
腱(tendon)は筋の末端部で、筋と骨をつなぎ、筋の収縮力を骨に伝達する。靭帯(ligament)は骨と骨をつないで関節を安定させ、過度な動きを制限する。どちらも主にI型コラーゲンで構成される高密度結合組織だが、靭帯の方が若干弾力性が高い。
Q57球関節(ball-and-socket joint)の特徴として正しいものはどれか。

A. 1軸性で屈曲と伸展のみ可能
B. 2軸性で屈曲・伸展・外転・内転が可能
C. 3軸性で最大の可動域を持ち、多方向の運動が可能
D. 非軸性で滑り運動のみ可能
正答: C
球関節は球状の骨頭が受け皿状の関節窩に嵌まる構造で、3軸性(屈曲・伸展、外転・内転、内旋・外旋、および水平内外転・回旋)の動きが可能で最も可動域が広い。肩関節(肩甲上腕関節)と股関節が代表例。蝶番関節は1軸性(a)、顆状関節・楕円関節は2軸性(b)である。
Q58鞍関節(saddle joint)が存在する部位として正しいものはどれか。

A. 環椎後頭関節
B. 母指の手根中手関節(CM関節)
C. 橈骨手根関節
D. 胸鎖関節
正答: B
鞍関節は凸面と凹面を持つ2つの鞍状の骨面が組み合わさった2軸性の関節で、母指の手根中手(CM)関節が代表例である。母指の大きな可動域(対立動作を含む)はこの構造によるものである。環椎後頭関節は顆状関節、橈骨手根関節は楕円関節に分類される。
Q59平面関節(plane joint)の説明として正しいものはどれか。

A. 関節面が平坦で、滑り運動(gliding)のみを行う
B. 凸状の骨頭が凹状の関節窩に嵌まる
C. 円柱状の骨が軸として回転する
D. 蝶番状の構造で屈曲と伸展のみ行う
正答: A
平面関節(arthrodial joint)は関節面がほぼ平坦で、わずかな滑り運動のみが可能な非軸性の関節である。手根骨間関節や足根骨間関節、椎間関節(脊柱の関節突起間)が代表例である。可動域は非常に小さいが、複数の関節が組み合わさることで総合的な動きが生じる。
Q60肩関節複合体を構成する4つの関節として正しい組み合わせはどれか。

A. 肩甲上腕関節・肩鎖関節・胸鎖関節・肩甲胸郭関節
B. 肩甲上腕関節・肘関節・手関節・指関節
C. 肩甲上腕関節・肩鎖関節・烏口鎖骨関節・肘関節
D. 肩甲上腕関節・胸鎖関節・腰椎関節・骨盤関節
正答: A
肩関節複合体(shoulder complex)は、①肩甲上腕関節(GH関節:真の肩関節・球関節)、②肩鎖関節(AC関節:平面関節)、③胸鎖関節(SC関節:鞍関節・唯一の上肢帯と体軸の骨性連結)、④肩甲胸郭関節(ST関節:機能的関節)の4つで構成される。腕の全挙上には全4関節が協調する。

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