第5章:解剖学・運動生理学の基礎 (7/8)

第5章:解剖学・運動生理学の基礎

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Q121骨格の体軸骨格(axial skeleton)に含まれる骨として正しいものはどれか。

A. 大腿骨・上腕骨・橈骨・尺骨
B. 頭蓋骨・脊柱・胸骨・肋骨
C. 肩甲骨・鎖骨・骨盤・大腿骨
D. 手根骨・足根骨・中手骨・中足骨
正答: B
体軸骨格(軸骨格)は身体の中軸を形成する骨で、頭蓋骨(22個)・脊柱(26個)・胸郭(胸骨1個+肋骨24個)の計80個から成る。付属骨格(四肢骨格)は上肢(肩甲骨・鎖骨・上腕骨・橈骨・尺骨・手根骨・中手骨・指骨)と下肢(骨盤・大腿骨・膝蓋骨・脛骨・腓骨・足根骨・中足骨・趾骨)で構成される126個である。
Q122骨の成長板(growth plate:骨端線)の説明として正しいものはどれか。

A. 成熟した成人にのみ存在し、骨密度を維持する
B. 成長期の骨端(骨の末端部)に位置する軟骨組織で、骨の縦方向成長が起こる
C. 骨の表面を覆う膜で、骨膜(periosteum)と同義である
D. 骨髄腔の中央に位置し、造血機能を担う
正答: B
成長板(骨端軟骨板:epiphyseal plate)は骨幹端と骨端の間の軟骨組織で、成長期における骨の縦方向(長軸方向)の成長が起こる場所である。軟骨細胞の増殖・肥大・石灰化が繰り返される。成長終了後は骨端線(epiphyseal line)として骨化・消失する。成長期のアスリートでは骨端板損傷(骨端炎等)に注意が必要である。
Q123軟骨の種類のうち、関節軟骨として最も一般的なものはどれか。

A. 弾性軟骨
B. 線維軟骨
C. 硝子軟骨(ヒアリン軟骨)
D. 石灰化軟骨
正答: C
関節の摩擦面を覆う関節軟骨は硝子軟骨(hyaline cartilage)であり、平滑な表面で関節の摩擦を最小化する。弾性軟骨(elastic cartilage)は耳介・喉頭蓋に、線維軟骨(fibrocartilage)は椎間板・恥骨結合・半月板などに存在する。硝子軟骨は血管・神経を欠くため、損傷後の自己修復能力が低い。
Q124脛骨・腓骨間の膜である骨間膜(interosseous membrane)の機能として正しいものはどれか。

A. 2骨を関節として連結し、相対的な動きを可能にする
B. 荷重を脛骨から腓骨へ、また前腕では橈骨から尺骨へ分散伝達する
C. 血管の通路として機能する
D. 筋の起始部として機能しない
正答: B
骨間膜は脛骨と腓骨(下腿)または橈骨と尺骨(前腕)の間を連結する結合組織の膜で、①2骨を安定させながら相対的位置を保つ、②荷重や衝撃力を2骨間で分散する役割を持つ。多くの筋(特に前腕・下腿の深部筋)の起始部としても機能し、コンパートメント症候群の病態でも重要な構造物である。
Q125股関節の正常な伸展可動域として正しいものはどれか。

A. 0〜10°
B. 10〜20°
C. 30〜50°
D. 90〜120°
正答: B
股関節の正常な伸展ROMは約10〜20°(膝伸展位)である。屈曲は約110〜120°(膝屈曲時)または約90°(膝伸展時)、外転は約45〜50°、内転は約25〜30°、外旋は約45〜50°、内旋は約35〜45°が正常値とされる。腸腰筋の短縮(タイトネス)は股関節伸展ROMの制限に関係し、腰痛や前方骨盤傾斜の原因となる。
Q126アクチンフィラメントの構造として正しいものはどれか。

A. ミオシン重鎖と軽鎖から構成される太いフィラメント
B. 二本のF-アクチン(G-アクチンの重合体)がらせん状に絡み合い、トロポニン・トロポミオシン複合体を含む
C. ATPase 活性を持ち、横橋を形成する
D. H帯の中央にのみ存在する
正答: B
細いフィラメント(アクチンフィラメント)は、G-アクチン(球状アクチン)が重合したF-アクチン(線維状アクチン)2本がらせん状に巻き合った構造で、トロポミオシン(アクチン活性部位を覆う棒状タンパク質)とトロポニン複合体(TnC・TnI・TnTの3サブユニット)を含む。太いフィラメント(a)はミオシンで構成される。
Q127筋の弾性要素(elastic component)のうち、タイチン(titin)の主な役割として正しいものはどれか。

A. カルシウムを貯蔵する
B. サルコメアの巨大タンパク質として受動的張力を発生させ、サルコメア構造の安定に寄与する
C. ATPを直接産生する
D. ミトコンドリアとサルコメアを連結する
正答: B
タイチン(titin)はサルコメア中のZ線からM線を橋渡しする巨大タンパク質(分子量約400万Da)で、バネのような弾性を持ち、筋が伸張された際に受動的張力(passive tension)を発生させ、ミオシンフィラメントをZ線中央に保持しサルコメア構造の安定を維持する。エキセントリック収縮時の高い力発揮にタイチンの受動的張力が貢献するとされる。
Q128運動単位の発火頻度(rate coding)について正しいものはどれか。

A. 発火頻度は一定であり、力の調節は運動単位の動員数のみで行われる
B. 発火頻度の増加(rate coding)は、特に高強度での力調節に重要な役割を果たす
C. 発火頻度が上がると力は減少する
D. 人間の骨格筋では発火頻度による力調節は行われない
正答: B
筋力の調節は、①運動単位の動員数増加(recruitment)と②各運動単位の発火頻度増加(rate coding)の2つの機序で行われる。低強度では主に動員数で調節され、高強度(最大収縮に近づくほど)では発火頻度の増加が重要となる。発火頻度が上がると個々の収縮が融合して強縮(tetanus)となり、より大きな力が持続的に発揮される。
Q129血圧の調節に関わるレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAAS)の作用として正しいものはどれか。

A. 血圧低下・血漿量減少・ナトリウム排泄促進
B. 血圧上昇・血漿量増加・ナトリウム再吸収促進
C. 心拍数低下・血管拡張・尿量増加
D. 血糖低下・脂肪分解抑制
正答: B
RAASは血圧低下・血漿量減少を感知すると活性化される。腎臓からレニン分泌→アンジオテンシノーゲン→アンジオテンシンI→ACE(変換酵素)→アンジオテンシンII→①強力な血管収縮(血圧上昇)、②副腎皮質からアルドステロン分泌→腎臓でのNa⁺再吸収増加→水の再吸収→血漿量増加、という過程で血圧を維持・上昇させる。
Q130有酸素系における脂肪酸のエネルギー代謝(β酸化)が行われる場所として正しいものはどれか。

A. 細胞質(サイトゾル)
B. 核
C. ミトコンドリアのマトリックス
D. 細胞膜
正答: C
脂肪酸のβ酸化はミトコンドリアのマトリックスで行われる。遊離脂肪酸はまず細胞質でアシルCoAに変換され、カルニチンシャトル系によってミトコンドリア内膜を通過してマトリックスに入る。マトリックスでβ酸化によりアセチルCoAに分解され、クレブス回路に入る。長鎖脂肪酸の輸送にカルニチンが必要であることが、Lカルニチンサプリメントに関心が集まる理由である。
Q131短骨の特徴と代表例として正しいものはどれか。

A. 長く円柱状で、骨髄腔を持つ
B. 骨の長さと幅がほぼ等しく、手根骨・足根骨が代表例
C. 薄い板状で、広い表面積をもつ
D. 不規則な形状で、椎骨が代表例
正答: B
短骨(short bone)は長さ・幅・高さがほぼ同じで立方体に近い形をしており、手根骨(8個:舟状骨・月状骨・三角骨・豆状骨・大菱形骨・小菱形骨・有頭骨・有鈎骨)と足根骨(7個:距骨・踵骨・舟状骨・内側/中間/外側楔状骨・立方骨)が代表例である。多方向への力の伝達と衝撃吸収に適している。
Q132骨膜(periosteum)の機能として正しいものはどれか。

A. 骨内部の造血機能と脂肪貯蔵を担う
B. 骨の表面を覆い、骨形成・栄養供給・感覚受容・骨折修復に関与する
C. 関節軟骨の表面を覆い、関節液を産生する
D. 骨端の成長板として機能する
正答: B
骨膜(periosteum)は関節軟骨部を除く骨の外表面を覆う強靭な結合組織膜で、①外層(線維層):靭帯・腱の付着部(シャーピー線維)、②内層(形成層):骨芽細胞・破骨細胞前駆体を含み骨形成・リモデリングに関与する。骨折時の修復(仮骨形成)を担い、豊富な神経分布により骨の痛み感覚を担う。
Q133関節軟骨が血管を欠く理由として正しいものはどれか。

A. 血管が不要なほど代謝活性が低いため
B. 血管があると関節摩擦が増大するため
C. 血管を含むと荷重時に損傷するため関節液による栄養供給に依存している
D. 血管は軟骨細胞が排除するため
正答: C
関節軟骨は無血管性組織(avascular)であり、滑液(synovial fluid)の関節運動による拡散(ポンプ作用)によって軟骨細胞に栄養・酸素を供給する。血管が存在すると関節への圧縮荷重時に血管が潰れ損傷を受けるため、このような構造が適している。無血管性のため、関節軟骨の損傷は自己修復能力が非常に低い。
Q134遠心性収縮(エキセントリック収縮)でより大きな力が発揮できる理由として正しくないものはどれか。

A. タイチンなど弾性要素の受動的張力が加わるため
B. 収縮速度が遅いほど横橋結合数が増加するため
C. 筋の弾性エネルギーが蓄積されるため
D. エキセントリック収縮では横橋のサイクル速度が倍増するため
正答: D
エキセントリック収縮でより大きな力が発揮される理由は、①タイチンなどの弾性要素(受動的張力)の貢献(a)、②筋が引き伸ばされる際に横橋の解離が遅くなり同時結合横橋数が増加すること(b)、③弾性エネルギーの蓄積(c)などである。横橋サイクル速度が倍増するという記述(d)は誤りであり、むしろ伸張速度が遅い方が横橋は結合を維持しやすい。
Q135等速性収縮(アイソキネティック収縮)の特徴として正しいものはどれか。

A. 関節角度が変化せず、一定の力を発揮する
B. 関節運動速度が一定に制御され、その速度に対して最大の力を発揮できる
C. 負荷が一定に保たれ、収縮速度のみが変化する
D. 自然な日常動作やフリーウェイトトレーニングで一般的に見られる
正答: B
アイソキネティック(等速性)収縮は専用の機器(アイソキネティックダイナモメーター)によって関節の角速度を一定に制御し、その速度に対する最大抵抗を提供するため、全可動域で最大の力を発揮できる。筋力評価(特にリハビリ)や研究に広く使用される。日常動作やフリーウェイトでは通常みられず(d)、aはアイソメトリック、cはアイソトニックの説明に近い。
Q136筋の付着様式において、羽状角(pennation angle)が大きい筋の特徴として正しいものはどれか。

A. 長い筋線維を持ち、大きな可動域と速い収縮速度をもつ
B. 単位断面積あたり多数の筋線維を詰め込め、大きな力発揮に適している
C. 筋線維が長軸に平行に配列する平行筋と同じ特性をもつ
D. 疲労耐性が低く、持久的活動に不向きである
正答: B
羽状筋(pennate muscle)は筋線維が腱に対して斜めに配列しており、羽状角が大きいほど同じ体積内により多くの筋線維を詰め込める(生理学的断面積が大きい)ため、大きな力発揮に適している。ただし短縮距離と速度は平行筋に劣る。大腿直筋・大腿四頭筋(半羽状)、三角筋(多羽状)などが例。平行筋(縫工筋・腓腹筋内側頭等)は大きな可動域と速い収縮速度をもつ(a)。
Q137心臓の伝導系の正しい順序はどれか。

A. 洞房結節→房室結節→ヒス束→プルキンエ線維
B. 房室結節→洞房結節→プルキンエ線維→ヒス束
C. ヒス束→洞房結節→房室結節→プルキンエ線維
D. プルキンエ線維→ヒス束→洞房結節→房室結節
正答: A
心臓の電気的興奮の伝導は、①洞房結節(SA node:右心房に位置、ペースメーカー)→②房室結節(AV node:房室接合部、一時的遅延)→③ヒス束(房室束)→④右脚・左脚→⑤プルキンエ線維(心室壁全体に伝導)→心室筋収縮の順に伝わる。この遅延が心房と心室の収縮タイミングを適切に分離する。
Q138運動中に呼吸が深く速くなる主な化学的刺激はどれか。

A. 血中酸素分圧(PO₂)の上昇
B. 血中CO₂分圧(PCO₂)の上昇とpHの低下(H⁺増加)
C. 血中グルコース濃度の低下
D. 血中コルチゾール濃度の上昇
正答: B
呼吸中枢(延髄・橋)の化学受容器は血中PCO₂の上昇、H⁺濃度(pH低下)、PO₂の低下(低酸素時に末梢化学受容器が感知)に応答して換気を増加させる。運動中はCO₂産生増加と乳酸蓄積によるpH低下が主な換気刺激となる。健常者では通常PCO₂とpHが主要な調節因子で、PO₂は極端な低酸素でのみ主役になる。
Q139有酸素性エネルギー代謝における脂肪1グラムからのATP産生量が炭水化物1グラムより多い理由として正しいものはどれか。

A. 脂肪は消化・吸収が速いため
B. 脂肪は水素原子(NADH・FADH₂産生)の割合が炭水化物より高いため、電子伝達系でより多くのATPを産生できる
C. 脂肪はクレブス回路を2回通過するため
D. 脂肪の分子量が小さいため
正答: B
脂肪(脂肪酸)は炭水化物と比較して分子あたりの水素(電子)の割合が高く、β酸化とクレブス回路を通じてより多くのNADH・FADH₂が産生される。電子伝達系でこれらが酸化される際に多くのATPが合成される。例えばパルミチン酸(C16)1分子から約129 ATPが産生されるのに対し、同重量のグルコースからは約30〜32 ATPである。したがって単位重量あたりでは脂肪の方がはるかにエネルギー密度が高い(9 kcal/g vs 4 kcal/g)。
Q140換気閾値(VT2:第2換気閾値)と等価乳酸閾値(OBLA)の特徴として正しいものはどれか。

A. 血中乳酸がゼロになる点
B. 血中乳酸濃度が約4 mmol/Lに達する点と対応し、RER>1.0かつ過剰CO₂が明確になる高強度の閾値
C. 最大酸素摂取量の50%強度で常に起こる
D. 換気量の増加が止まる点
正答: B
OBLA(Onset of Blood Lactate Accumulation)は血中乳酸が約4 mmol/Lに達する点で、第1閾値(LT1)より高強度の第2閾値に相当する。この点では換気に過剰なCO₂放出が加わりRER>1.0になり(VT2)、換気増加が加速する。持久性アスリートのトレーニング強度設定(OBLA付近が高強度持久トレーニングの指標)として重要である。

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