第5章:解剖学・運動生理学の基礎 (5/8)

第5章:解剖学・運動生理学の基礎

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Q81運動神経(遠心性神経)の機能として正しいものはどれか。

A. 皮膚・筋・関節からの感覚情報をCNSへ伝達する
B. CNSからの指令を筋・腺などのエフェクターへ伝達する
C. 体温・呼吸・循環などの自律機能を調節する
D. 平衡感覚と位置覚を感知する
正答: B
運動神経(efferent nerve)はCNSからの運動指令を末梢の効果器(筋肉・腺など)へ伝達する遠心性神経である。α運動ニューロンは骨格筋線維に、γ運動ニューロンは筋紡錘内の錘内筋線維に指令を送る。aは感覚神経(求心性神経)の機能である。
Q82筋紡錘のIa線維(primary afferent)が感知する情報として正しいものはどれか。

A. 筋の張力の変化のみ
B. 筋の長さ変化の速度(動的成分)と筋の絶対的な長さ(静的成分)
C. 腱に加わる圧力
D. 関節角度の変化
正答: B
筋紡錘にはIa線維(一次求心性)とII線維(二次求心性)の2種類がある。Ia線維は核袋線維を支配し、筋の伸張速度(動的成分)と長さ(静的成分)の両方を感知する。II線維は核鎖線維を主に支配し、筋の長さ(静的成分)のみを感知する。Ia線維が伸張反射の主要な求心性路となる。
Q83伸張反射(stretch reflex)の完全なメカニズムとして正しいものはどれか。

A. 腱への刺激→Ib線維→脊髄→同筋のα運動ニューロン抑制→弛緩
B. 筋の急速な伸張→Ia線維→脊髄→同筋のα運動ニューロン興奮→収縮
C. 痛み刺激→侵害受容器→脊髄→屈筋収縮→伸筋弛緩
D. 筋の過度な収縮→筋紡錘→脊髄→α運動ニューロン抑制→弛緩
正答: B
伸張反射(単シナプス反射)では、筋が急速に伸張される→錘内筋線維の筋紡錘が活性化→Ia求心性線維が脊髄後角に信号を送る→脊髄前角のα運動ニューロンに直接シナプスを形成し興奮→同筋(agonist)が反射的に収縮する。膝蓋腱反射が典型例で、腱叩打により大腿四頭筋が伸張され、反射的に膝が伸展する。
Q84自原抑制(autogenic inhibition)のメカニズムとして正しいものはどれか。

A. 拮抗筋の活動により主動筋が反射的に弛緩する
B. 筋・腱への過度な張力→GTO→Ib線維→抑制性介在ニューロン→同筋の弛緩
C. 急速な伸張→筋紡錘→Ia線維→同筋のα運動ニューロン促通
D. 痛み刺激→屈曲反射弓→屈筋群の収縮
正答: B
自原抑制(Ib抑制)は、筋腱移行部のゴルジ腱器官(GTO)が過度の張力を感知→Ib求心性神経→脊髄の抑制性介在ニューロン→同筋(主動筋)のα運動ニューロンが抑制→筋が弛緩するメカニズムである。筋・腱を損傷から守る保護機構であり、PNFストレッチのホールド・リラックス法はこの原理を応用している。
Q85運動学習の3段階(フィッツとポズナーのモデル)の正しい順序はどれか。

A. 自律段階→連合段階→認知段階
B. 認知段階→連合段階→自律段階
C. 連合段階→認知段階→自律段階
D. 認知段階→自律段階→連合段階
正答: B
フィッツとポズナーの運動学習3段階モデルでは、①認知段階(cognitive stage):動作を理解しようとする段階で誤りが多い、②連合段階(associative stage):運動パターンが安定しエラーが減少する練習段階、③自律段階(autonomous stage):動作が自動化され意識的注意が不要になる最終段階の順序で進む。
Q86心臓の4つの腔の正しい組み合わせはどれか。

A. 右心房・右心室・左心房・左心室
B. 右心房・右心室・左心房・肺動脈
C. 右心室・左心室・大動脈・肺動脈
D. 心房2つと心室1つと中隔1つ
正答: A
心臓は右心房・右心室・左心房・左心室の4腔で構成される。右心房が静脈血を受け取り→右心室→肺動脈→肺循環(ガス交換)→肺静脈→左心房→左心室→大動脈→体循環の順で血液が流れる。左心室の壁は右心室の約3倍厚く、体循環に対応した高い圧力を生成する。
Q87心臓の4つの弁の組み合わせとして正しいものはどれか。

A. 僧帽弁・三尖弁・大動脈弁・肺動脈弁
B. 僧帽弁・三尖弁・大動脈弁・肺静脈弁
C. 二尖弁・三尖弁・僧帽弁・大動脈弁
D. 僧帽弁・大動脈弁・肺動脈弁・肺静脈弁
正答: A
心臓には4つの弁がある。房室弁として左心房・左心室間の僧帽弁(二尖弁)と右心房・右心室間の三尖弁、半月弁として左心室・大動脈間の大動脈弁と右心室・肺動脈間の肺動脈弁である。これらが逆流を防ぎ一方向の血流を確保する。
Q88フランク・スターリングの法則(Frank-Starling Law)の説明として正しいものはどれか。

A. 心拍数が増加すると一回拍出量が減少する
B. 心室への充満量(前負荷)が増加すると、心筋の伸張が増し一回拍出量が増加する
C. 後負荷(大動脈圧)が増加すると一回拍出量が増加する
D. 心拍出量は常に一定に保たれる
正答: B
フランク・スターリングの法則は、心室への血液充満量(前負荷・end-diastolic volume)が増加すると心筋線維の初期長が伸張され、より強い収縮力(一回拍出量の増加)が生じることを示す。運動中、活動筋からの静脈還流増加→右心房・右心室への充満増加→一回拍出量増加のメカニズムである。
Q89フィックの式(Fick equation)の正しい表現はどれか。

A. VO₂ = 心拍数 × 一回拍出量
B. VO₂ = 心拍出量(Q)× 動静脈酸素較差(a-vO₂ diff)
C. VO₂ = 換気量 × 呼吸交換比
D. VO₂ = 最大心拍数 × 一回拍出量
正答: B
フィックの式はVO₂ = Q × a-vO₂差で表される。Q(心拍出量)は心臓が1分間に送り出す血液量(L/min)、a-vO₂差は動脈血と静脈血の酸素含有量の差(mL O₂/dL blood)である。VO₂maxを規定する要因は心拍出量(中枢的要因)と末梢での酸素利用(a-vO₂差:末梢的要因)の両者であることをこの式は示している。
Q90運動中の血流再分配の説明として正しいものはどれか。

A. 活動筋への血流が減少し、内臓への血流が増加する
B. 交感神経系の活性化により活動筋の血流が増加し、内臓・皮膚への血流が減少する
C. 心拍出量が増加しても臓器ごとの血流比率は変化しない
D. 内臓への血流増加により消化が促進される
正答: B
運動中、交感神経系の活性化により内臓血管・非活動組織の血管が収縮(血流減少)し、活動筋の局所的血管拡張(代謝産物・一酸化窒素による)により筋への血流が大幅に増加する。安静時に総心拍出量の15〜20%だった骨格筋への血流が最大運動時には80〜85%まで増加する。これを血流再分配(redistribution)と呼ぶ。
Q91安静時の心拍出量として最も近い値はどれか。

A. 1〜2 L/分
B. 3〜4 L/分
C. 4〜6 L/分
D. 10〜12 L/分
正答: C
成人の安静時心拍出量は約4〜6 L/分(平均約5 L/分)である。これは心拍数約70拍/分×一回拍出量約70 mLで計算される(70×70=4,900 mL≒5 L)。最大運動時には一般人で約20〜25 L/分、持久的アスリートでは40 L/分以上に達することもある。
Q92運動後低血圧(PEHP:Post-Exercise Hypotension)の主なメカニズムとして正しいものはどれか。

A. 運動後の心拍数増加による血圧上昇
B. 活動筋の血管拡張が持続し末梢血管抵抗が低下することによる
C. 運動後の発汗による血液量増加
D. 交感神経系の過剰活性化による
正答: B
運動後低血圧(PEHP)は有酸素運動後にしばらくの間、安静時よりも収縮期・拡張期血圧が低下する現象である。活動筋の血管拡張(代謝産物による)が運動後も持続し末梢血管抵抗が低下することが主因とされる。一般的に収縮期血圧が5〜10 mmHg程度低下し、高血圧患者で特に顕著である。
Q93静脈還流を促進する要因として正しくないものはどれか。

A. 筋ポンプ作用(骨格筋の収縮・弛緩)
B. 呼吸ポンプ作用(吸気時の胸腔内圧変化)
C. 静脈弁の一方向性
D. 動脈圧の低下
正答: D
静脈還流(心臓への血液戻り)を促進する要因は、①骨格筋ポンプ(筋の収縮が静脈を圧迫し血液を押し上げる)、②呼吸ポンプ(吸気時に胸腔内圧が低下し右心房への血流が増加)、③静脈弁(逆流防止)、④交感神経による静脈緊張(静脈容量の減少)である。動脈圧の低下は静脈還流とは直接関係しない(d)。
Q94外呼吸(external respiration)と内呼吸(internal respiration)の違いとして正しいものはどれか。

A. 外呼吸は肺胞でのガス交換、内呼吸は細胞レベルでのガス交換
B. 外呼吸は細胞でのガス交換、内呼吸は肺胞でのガス交換
C. 外呼吸は呼吸筋の収縮、内呼吸はミトコンドリアでのATP産生
D. 外呼吸と内呼吸は同じ意味である
正答: A
外呼吸は肺胞と肺毛細血管の間でのO₂とCO₂のガス交換を指す。内呼吸(細胞呼吸)は各組織・細胞において血液から供給されたO₂を使ってATPを産生し、CO₂を排出するプロセスを指す。肺換気(breathing)は空気を肺内に取り込む物理的プロセスで、外呼吸の前段階となる。
Q95運動中の換気量(分時換気量)の変化として正しいものはどれか。

A. 運動強度に関わらず約6〜8 L/分で一定である
B. 運動強度の増加とともに、まず呼吸数が増加し、その後一回換気量が増加する
C. 一回換気量と呼吸数の両方が増加し、最大運動時には100〜200 L/分に達することがある
D. 運動中は呼吸数のみが増加し、一回換気量は変化しない
正答: C
安静時の分時換気量は約6〜8 L/分(一回換気量約0.5 L×呼吸数約12〜16回/分)である。運動強度の増加とともに一回換気量と呼吸数の両方が増加し、最大運動時には100〜200 L/分に達することがある。一般に低〜中強度では一回換気量の増加が主で、高強度になると呼吸数の増加も大きくなる。
Q96呼吸商(RQ:Respiratory Quotient)の計算式として正しいものはどれか。

A. RQ = VO₂ / VCO₂
B. RQ = VCO₂ / VO₂
C. RQ = VO₂ × VCO₂
D. RQ = 換気量 / 酸素摂取量
正答: B
呼吸商(RQ)= VCO₂(CO₂産生量)/ VO₂(O₂消費量)で算出される。純粋な炭水化物燃焼ではRQ=1.0(C₆H₁₂O₆ + 6O₂ → 6CO₂ + 6H₂O)、純粋な脂肪燃焼ではRQ≒0.70、タンパク質ではRQ≒0.82。実際の測定ではガス交換比(RER)が使われ、RER>1.0は無酸素的代謝の関与を示す。
Q97ボーア効果(Bohr effect)の説明として正しいものはどれか。

A. pH上昇(アルカローシス)によりヘモグロビンの酸素親和性が低下する
B. pH低下(アシドーシス)・CO₂増加・温度上昇によりヘモグロビンの酸素親和性が低下し、酸素が末梢組織に放出されやすくなる
C. 高地でPO₂が低下するとヘモグロビンの酸素親和性が上昇する
D. 運動中、ヘモグロビンは肺での酸素結合量を増やす
正答: B
ボーア効果は、pH低下(H⁺増加)・PCO₂上昇・体温上昇・2,3-BPG増加により酸素-ヘモグロビン解離曲線が右方シフトし、ヘモグロビンの酸素親和性が低下(酸素を放出しやすくなる)現象である。運動中の活動筋では代謝産物によりこれらの条件がすべて満たされ、効率的な酸素供給が実現する。
Q98高地(低酸素環境)への生理的適応として正しいものはどれか。

A. 赤血球数と血中ヘモグロビン濃度が減少する
B. エリスロポエチン(EPO)分泌増加→赤血球産生増加→酸素運搬能向上
C. 2,3-BPGが減少し、ヘモグロビンの酸素親和性が低下する
D. 換気量が減少し、血液がアルカローシスになる
正答: B
高地の低酸素環境では、腎臓でのEPO分泌増加→骨髄での赤血球産生増加→ヘモグロビン・赤血球数の増加→酸素運搬能向上という適応が起こる。また2,3-BPGの増加(酸素解離曲線の右シフト)、換気量の増加(過換気)、毛細血管密度の増加なども生じる。これが高地トレーニングの理論的根拠となる。
Q99運動誘発性気管支収縮(EIB)の特徴として正しいものはどれか。

A. 運動開始直後に最も気道収縮が強くなる
B. 運動終了後5〜15分で気道収縮が最大となることが多い
C. 有酸素運動では発生せず、レジスタンストレーニングのみで起こる
D. EIBは喘息患者にのみ起こり、健康な人には発生しない
正答: B
運動誘発性気管支収縮(EIB:Exercise-Induced Bronchoconstriction)は、運動中または運動終了後に気道が収縮する現象で、運動終了後5〜15分でピークを迎えることが多い。喘息患者の多くで認められるが、一部の喘息のない人でも発生する。乾燥した冷たい空気、長時間の有酸素運動、高強度運動で誘発されやすい。
Q100ATP-PCr系(ホスファゲン系)のエネルギー供給持続時間と特徴として最も正確なものはどれか。

A. 持続時間:約2〜3分、乳酸を生成する
B. 持続時間:約10秒以内、無酸素的で最も高い出力を持つ
C. 持続時間:約30〜60秒、有酸素的に作動する
D. 持続時間:数時間、脂肪酸を主基質とする
正答: B
ATP-PCr系(ホスファゲン系)は筋内に貯蔵されたATP(約2〜3秒分)とクレアチンリン酸(PCr:約6〜10秒分)を無酸素的に利用する。酸素を必要とせず、3つのエネルギー系の中で最も高い出力(パワー)を持つが、持続時間は最も短い(最大10秒程度)。重量挙げ・短距離スプリントのスタートなどで主に使われる。

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